部下が退職してしまうときの理由には色々とありますが、中には「会社の体制に不満だ」という種類のものがあります。
これは、本人側に「このような会社で働きたい」「仕事を通じてこういう自分になりたい」というイメージがありながら、今の環境ではそれが実現できないから辞めるという判断を下すパターンです。
こういう部下は、ハナから仕事にやる気のない部下とは違い、もともとは仕事に対して前向きで、成果を上げることも多く優秀であることが多いです。
このような退職を防ぐために、上司として何ができるでしょうか。
大切なのは、早い段階で手を打ち、辞める決断をさせないことます。
今回は、会社の体制への不満で部下が辞めないために大切なことをまとめました。
目次
部下が抱えがちな会社体制への批判
まずは、部下が抱えがちな会社体制への不満について、具体的に挙げていきます。
業種や職種によって多少は違いますが、以下のような不満や批判は、どの会社でもありがちな内容です。
- 顧客満足よりも売上優先で考えている
- 業務量が多すぎるのに残業をやめろと言う
- 自分の提案が受け入れてもらえない
- 周りの社員がネガティブで自分の士気が下がる
- 上層部の仕事スピードが遅くて仕事がうまくいかない
このように、会社の体制や組織風土だけでなく、職場の環境についてなど色んな点について不満を抱えることが多いです。
そして、最初はそのような愚痴を周りに漏らしますが、そのうち退職することを決めることになるでしょう。
まずは上司自身を信頼させること
このようなタイプの退職を止めるために管理職ができることとして大切なのは、まず「あなた自身を信頼させる」ことです。
会社の体制や方針に納得がいかなくても、直属の上司であるあなた自身を信頼させることは十分に可能です。
これができると、その部下の中には「会社のために仕事はしていないけど、この上司のために自分は仕事しているんだ」という意識が生まれます。
部下から信頼を得るためのポイントは、こちらの記事を参考にしてください。
これが出来れば、あなたが上司でい続ける限りは退職のリスクは減ります。
しかし、根本的な解決にはならないので、他のアプローチによって少しずつでも会社への不満を抑えていく必要があります。
自分で環境を変えてみろと励ます
もう一つの方法が、「文句があるのなら自分で何とかしてみろ」とはっぱをかけることです。これが一番の正攻法です。
しかし、ただ単純に「お前が変えてみせろ」と言っても「何で俺が変えなきゃいけないんだ!」と反発され素直に取られない可能性もあります。
まずは、部下から不満に感じていることを聞き出しましょう。
飲み会の席や、ランチなどででさりげなくヒアリングしてもいいですし、個別で面談をする機会をとってもいいでしょう。
この手の話をするときは、この記事の考え方が役立ちます。
そしてできるならば、上司のあなた自身が、会社の体制についてどう思っているかを話したいところです。
- あなた自身が思う会社の問題点
- その問題点は解決する方法やそのために取り組んでいること
- それを実現するために部下にやってほしいこと
このようなことをざっくばらんに話してみましょう。
こういうトークをしたうえで、良い雰囲気になるのであれば、以下のようにたきつけるのもアリです。
「本当に優秀な人はそういう環境を変えるもんだぞ、お前にはその気概はないのか」
「もし同じ会社に行ったとして、他の会社で何か不満があったらまた同じようにグチグチ言うだけなのか」
「周りがしっかりしていないとお前は頑張れないのか」
部下が本当に優秀で、前向きな人物なら、奮起して大きな戦力になってくれます。
チームが大きな成果を挙げるときの要因として大きいのが、若手社員が予想以上の活躍をするときです。
上司になるような人は、すでにキャパシティギリギリの仕事を与えられることが多いので、それ以上に大きな成果を出すのが難しいものです。
そこで、新人や若手の社員が大きな活躍をしてくれると、大きなカンフル剤となって成果が上がることがあります。
あえて部下をたきつけるのには、そういう効果も期待できます。
仕事がつまらないという不満もある
会社の体制に不満を持ちやすい部下には、このようなアプローチが有効です。
そして、この手の部下が、退職を考えてしまう理由のもう一つとして、「仕事がつまらない」というものもあります。
このタイプは、
- 「自分はこんな仕事をするためにこの会社に入ったわけじゃないんだ」
- 「この仕事は自分のポリシーとは合わないんだ」
というような意識を持ちやすいです。
この場合も同じく、最初は愚痴を周りに言いますが、この手の愚痴は、先輩社員からすると「社会のことをわかっていない若造の甘え」と捉えられることが多いものです。
部下もそれを分かっている場合は、あまり漏らさないので、このような愚痴は拾えないかもしれません。
しかし、このままの状態が続くと、「自分にはもっとふさわしいステージがある」と考えて退職を決めることになるでしょう。
仕事がつまらない部下への4つの対策
この場合の対策としては、以下の4つが考えられます。
仕事の意義・やりがいを積極的に伝える
どんな仕事にも意義や理由があります。それを直接上司の口から説明することで、部下に対してやりがいを感じさせます。
人間は一回言われてもすぐ忘れるので、折に触れて、何回も伝えましょう。
できれば同じ言葉ではなく、色々な表現を使いながら、手を変え品を変えて伝えることが大切です。
感謝の声をフィードバックさせる
お客様や、後工程の部署など、関わる相手からの感謝の声をもらう機会があれば、それを積極的に伝えましょう。
人から承認される・感謝されるというのは、とても大きなモチベーションになるもので、それだけでやりがいを感じるようになります。
また、仕事に前向きになり、「相手に喜ばれるためにはどうすればいいか」ともっと考えるようになります。
将来のイメージを持たせる
その仕事をすることで身につくスキルや、その部下が将来どのような方向にステップアップするのかという方向性を伝えます。
その上で、部下が将来どうなりたいのかを聞き、その希望を叶えるために、今の仕事で何を目標にするべきかを一緒に考え設定してやるとよいでしょう。
こちらの記事の内容も参考になります。
上司の仕事を任せてみる
「自分にはもっと責任のある仕事がふさわしいんだ」と部下が思っている場合は、思いきって上司の仕事をさせてみるという方法もあります。
未熟な部下の場合、傍から見て上司の仕事の大変さというものが分かりません。
それを実際に体験させ、上司の仕事がいかに大変かを分からせると、文句を言わずに自分に与えられた仕事をコツコツやろうという心境になります。
もし問題なく出来たという場合は、思いきってそれを任せてみてもいいでしょう。
部下の退職は「予防」が最重要
このように、会社の体制に不満を持つ部下が、退職を決意しないためのポイントについてまとめてきました。
このタイプは、最初はこのような不満や愚痴を周りか上司に漏らしますが、辞めることを決意したら、逆にそうした不満をもらさなくなります。
こうなったあとに、あれこれ上司が説得しても変わらないことが多いので、事前に危険を察知し、予防することが効果的です。
管理職としては、部下がグチグチ言っている段階で手を打つことが大切です。