職場においては、部下から不満が出ることが多いでしょう。
高すぎる売上目標、理不尽な方針変更など、部下が不満を感じる要素はどんな会社でも発生します。
そんな時、部下の不満に対応するのも上司の仕事です。
上手に対応できれば部下からの信頼も厚くなります。しかし、そうでない場合は逆の結果になります。
部下の不満を受け止め、解決策を考えて対処するというのは上司にとって精神的に疲れる仕事で、中にはその仕事を放棄してしまう上司もいます。
しかし、そんなことをしてしまうと職場の雰囲気は悪くなる一方です。
そこで今回は、部下の不満にはどのように対処するとよいか、という点についてまとめました。
部下の不満の対応に困っている場合は、この内容を参考にしてください。
目次
部下の不満への対応方法
まずは、部下から不満が出た場合、上司としてどのようなスタンスでいるべきかについて、3つのポイントをご紹介します。
①話に耳を傾ける
1対1で話す面談の場を設け、話を聞きます。
そして、話を途中でさえぎらず、部下の言いたいことをすべて言わせてやりましょう。
人は、自分の話を丁寧に聞いてもらうことで、「自分を尊重してくれている」と感じます。
人として相手を尊重するということは、信頼関係を築く上で非常に重要です。
不満の解消が出来ないとしても、話を丁寧に聞いてあげることだけで、部下のモヤモヤした思いは落ち着くこともあるくらいです。
そのため、「面倒くさい」と思わず、まずは部下の思いを一通り聞いてやりましょう。
②正しいことは認める
部下の話の中で、「正しい」と感じたことは認めることも重要です。
上司自身が「正しい」と思っているのに無理やり否定しようとするのは、かなり無理のある話し方になり、部下の納得感もありません。
ちなみに、「正しい」と認めることと、部下の言うとおりに方針を変えることは話が別です。
会社組織は理不尽なので、「ベストな方法ではないがやらなければいけないこと」「しがらみにとらわれること」などがあります。
「ベストな行動がいつもできるわけではない」という事情を説明させ、理解を得ることで、部下の主張の正しさを認めてやりつつも、会社の方針は曲げないということができます。
③誤っていることへの説明をする
逆に、部下の話の中で誤解や考え方の誤りがある場合はそれを伝えましょう。
このとき「そんな考えは甘い!」というような精神論ではなく、「○○だから、君の意見は間違っている」というように根拠を明確にして伝えましょう。
根拠を添えて説明するのは相手を尊重していることになります。たとえ相手の意見を否定するとしても、丁寧に説明するという上司の姿勢が、部下を信頼させるものです。
このように、部下の不満は丁寧にヒアリングし、丁寧に答えてやることが一番です。
上司のほうから部下に歩み寄り、言いたいことを言わせてやる環境を作りましょう。
部下の不満を爆発させる危険のある接し方
部下の不満に対しては、このように相手を尊重する姿勢で話をすることが重要です。
これに対し、逆にやってはいけない対応というものもあります。ここでは3つご紹介します。
①上から目線で話す
部下の発言に対して、「だからお前はダメなんだ」というような、上から目線で話してしまうと、「自分を尊重してくれていない」と感じます。
もちろん部下の不満の中には、思わず怒りたくなるような甘えた発言もあるかもしれません。
しかし、不満を解消させるためには、上から押さえつける方法はよくありません。
話をじっくり聞き、別の視点からの考え方を伝えてみるなど、フラットな感じで話をすることで、相手が心を閉ざさずに話しができます。
②一方的に論破する
部下の話に甘いところがあると、上司としてはそこをつついて論破したくなるものです。
論破できれば部下も不満を言えなくなり、上司としても気持ちいいかもしれません。
しかし、論破は感情面において相手をマイナスな気持ちにさせます。
これによって部下は不満を言えなくなりますが、不満の気持ちが無くなるわけではありません。
部下の不満を本当に解消するためには、理屈よりも感情面の配慮が重要です。
そのため論破するのではなく、相手の気持ちに寄り添って、理解を示しながら話すほうが適切です。
③できない約束はしない
不満や要望を聞いたときに、「わかった、俺が何とかするよ!」と豪語する上司は心強いものです。
しかし、会社組織においては、上司の一存で変えられることには限りがあり、いつも「俺が何とかする」と言えるわけではありません。
このときには、できないことはできないと伝えないといけません。
やってはいけないのは、出来もしないのに「俺が何とかするよ!」と言ってしまい、約束が果たされなくなってしまうことです。
このような上司は部下から「あいつは口だけだ、信用できない」と言われ、信頼を失ってしまいます。
叶えることができない部下の要望には、正直に「できない」と伝え、なぜそうなのかという説明を丁寧に行なうことが誠実です。
聞くべきでない部下の不満
このように、部下の不満への対応は丁寧に行なうべきですが、中には聞くべきではない不満もあります。
それは、「もっと休みを増やして欲しい」「面倒くさい仕事をしたくない」というような、代替案なしのただの要望です。
会社組織が存続していくためには、必要な仕事内容や仕事時間というものがあります。
社員から上がってくる要望をいちいち全て叶えていては、存続に必要な仕事が立ち回らず、潰れてしまいます。
例えば何かの仕事を辞めたい場合、その代替案(代わりとなる案)をだすことが重要です。
代替案を出すことで、会社としてそのメリットやデメリットを比較し、良いものであれば採用するでしょう。
しかし、代替案がないままただ要望を言うだけなのは、ただサボりたいだけのわがままと言えます。
部下から要望が上がったときには、代替案を求めてみましょう。
不満分子となってしまった部下への対処法
部下の不満が色々と積み重なってしまうと、その部下は会社にとっての不満分子となってしまいます。
こうなると、会社とその部下との間に信頼関係はなく、たとえ会社が理不尽ではない指示を出しても素直に聞かなくなります。
このような部下にはどう対応するのがいいのでしょうか。
こういう状態のときは、一つひとつじっくりと本人が引っかかっている要素を解きほぐしていくしかありません。
本人が引っかかっているであろうことを、こちらからアタリをつけて振ってみて、モヤモヤの原因となっているかどうかを確かめてみます。
そして、その原因となっていることに対して、一つひとつ丁寧に説明していくしかありません。
「どういう背景でモヤモヤする方針・事象は生まれたのか」
「リーダー自身はモヤモヤする方針・事象とどう向き合っているのか」
「モヤモヤする方針・事象について、他の人はどのように捉えているのか」
というような情報を与え、本人の納得感を積み上げていきます。
漠然とした話なので具体的な例で説明します。
「指定される納期がいつもシビアで余裕がない、現場のことを全然考えてなくてモヤモヤする」
→「なぜその納期なのか」
「その納期に間に合わせることで誰にメリットがあるのか」
「過去にそういう納期で上手くこなせた先輩はどんなことをしていたのか」
「短い納期という高い目標に向けて努力することでスキルの向上につながる」
というような、本人からすると「なるほどそういう考え方もあるのか」というような説明・情報を色々と提供します。
完璧に納得とまでは行かなくとも、少しでも「確かにそうかな」と感じさせるだけでも意味はあります。
納得感のある説明で、部下の不満を解きほぐす
このように、部下の不満には、まずはじっくり本人の言いたいことを聞き、そして抱えているモヤモヤに対して、丁寧な説明を加えることが重要です。
上から目線な対応や、放置してしまい、不満分子とならないように注意が必要です。
不満分子になってしまうと、「そもそも不満の原因が自分で何なのかわからない」とまでなります。
これは、たくさんの細かい不満が積もり積もって層を成してしまった状態であり、それを解消するのは時間がかかります。
しかし、あなた自身が部下から個人的に信頼されていれば、1回では上手く行かなくても何回も説明を加えることで、だんだんと心の「コリ」は解消されていくものです。
このように、部下の不満が解消されるのか、それとも溜まり続けるのかは、上司の対応によるところが非常に大きいです。
この対応が上手い上司は、部下から「会社の方針は疑問に思うことがあるけど、上司は信頼できるから仕事を頑張る」と言ってくれます。
この内容を参考にして、部下を不満分子にしないようマネジメントしましょう。
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