人の話を聞かない上司にイライラすることはないでしょうか。
最近はプレイングマネージャー(自分も実務をする上司)が増え、以前に比べて余裕が無い上司が多いものです。
しかし、上司たるもの部下の話を傾聴し、適切なアドバイスや指示をしたり、やる気をあげさせるべきです。
とはいえ、実際は人の話を聞かない上司が多くいます。
部下の話に耳を傾けず、思い込みが激しく、自分の言いたいことを言う上司は、部下の話なんて聞けません。
あなたが過去に報告しているはずの内容に「そんな話は聞いてない」なんて怒ってくる上司もいます。
そういう上司は信頼を得ることができず、部下のやる気を大きく下げます。
あなたがこのような上司にあたってしまった場合、どのように対応すればいいでしょうか。
話を聞かない上司には3つのタイプがあり、そのタイプ別に対応方法を工夫することで、少しはマシになります。
今回はこのような、話をきかない上司のタイプと、その対処方法についてまとめました。
この内容を知っておけば、話を聞かない上司にイライラすることが少なくなるでしょう。
目次
3つのタイプ別:人の話を聞かない上司
人の話を聞かない上司といっても、その背景によって3つのパターンに分かれます。
まずはそれを把握することでその傾向も分かるでしょう。
話を最後まで聞かない上司
これは、あなたが話し始めて少しすると「もういい、わかった。こういうことだろ?」と話の腰を折ってくるパターンです。
人の話を最後まで聞けず、途中でさえぎって自分で話してしまいます。
相手の言いたい内容をつかむ頭のよさがありますが、相手の話をじっくり聞くことができないという意味では上司としての能力はいまひとつです。
これは、上司の性格がせっかちだということが背景にあります。
生来生まれ持った性格的に、人の話を我慢して聞けないというタイプの人や、プライベートでは穏やかな性格でも、ビジネスにおいては時間に追われて余裕が無いためにせっかちになっていることもあります。
このタイプの上司は、部下からの報告のスピード感が自分のそれに合わないと、イライラして話をさえぎってしまいます。
自分が正しいと思っている上司
自分の考えが絶対だと思い込んでしまうタイプです。思い込みが激しく、人の意見を聞きたがりません。
自分の考えと違いことを言われると怒り出し、自分の考えが正しいことを主張してきます。
また、このタイプの上司に「遠慮なく意見を言ってみろ」と言われても真に受けてはいけません。
これは「部下の意見に耳を傾ける自分」をアピールしたり、「部下の考えを取り入る上司になりたい」という願望から話しているのであって、本当に部下の意見を聞き入れたいわけではありません。
何かこちらが意見しようものなら上から目線で否定したり、最悪怒られます。
自分を認めてほしい欲が強い上司
子供は普通、親や保護者に認められたいがために色々気を引こうとしますが、年齢を重ねたり立場が上になると、自分で自分のことを認められるようになり、振る舞いに余裕ができます。
しかし、「認めて欲しい」という欲求が強すぎたり、幼い頃に人から認められる経験が少なかった人は、大人になっても「ぼく(あたし)を認めて欲しい」という気持ちに支配されます。
そのため、コミュニケーションにおいても「自分が自分が」という意識になり、部下の話を聞くことができずに、自分の言いたいことをしゃべり、同意や承認を求めます。
人の話を聞かない上司への5つの対策

人の話を聞かない上司は、このようなタイプに分かれます。
それでは、このような上司にはどのような対策をとるのがよいでしょうか。ここでは5つの対策をご紹介します。
結論から話す
これは、話を最後まで聞けないタイプの上司に有効な手段です。
報告するときには、「結論としては○○です。」という言葉からはじめます。
ただし、結論を言うだけでは言葉足らずになってしまったり、結論に至るまでの説明が必要なこともあります。
そのときでも、とにかくまず結論を先に伝えましょう。補足として必要な情報は、結論を伝えたあとに付け足していくのです。
悪い例)
今回の企画案の件ですが、A案とB案の2点あったと思います。かかるコストとしてはA案の方が抑えられるのですが、B案の方がより大きな売上が期待でき、利益もB案の方が見込めるため、B案を採用したいと思います。
良い例)
A案とB案で検討中の企画ですが、今回はB案を採用したいと思います。理由としてはB案の方が利益を見込めるためです。Bの方がコストがかかりますが、期待できる売上もその分高く、利益の観点からB案を採るべきだと考えました。
良い例のように先に結論から話すほうが、(相手がせっかちだからとか関係なく)相手に伝わりやすいものです。
また、相手が話しを聞いてくれず途中でさえぎられた場合でも、結論から先に話すことで最低限伝えなければいけないことは伝わります。
メールで伝える
もう一つはメールで伝えてしまう方法です。
ビジネスでは大切なことほど体面でという原則がありますが、なんらかの理由をつけてメールで伝えるのです。
これは、最後まで話を聞かない上司と、自分が正しいと思っている上司に有効です。
メールの場合は、相手は途中で報告をシャットアウトできません。
「もう一度簡潔にして送りなおせ!」と言われるかもしれませんが、大体の場合は我慢して最後まで読んでくれることが多いでしょう。
但し、長すぎるメールにならないように気をつけましょう。一般的には長文メールは望ましくありません。
認めてあげる
これは「自分を認めて欲しい上司」に有効な方法です。
普段の上司の発言に対して、うなずきや返事などのリアクションを大きく取りましょう。
そして、「さすがですね」「おみそれしました」という言葉をかけてやると、上司の承認欲求が満たされます。
この手のタイプは褒め言葉に飢えているので、多少オーバーなリアクションでも素直に喜んでくれます。
普段からそのような接し方をすることで、上司の心に余裕ができます。
そして、「この部下はは自分のことを認めてくれているから、こいつの話もきいてやるか」という心持ちになります。
このようなタイプではなくても、「自分の話をよく聞いてくれる人には、その人の話も聞こう」という気持ちになりやすいものです。
あえて相手に質問させる
また、「あえて説明不足にして相手に質問させる」という方法もあります。
どのパターンでも効果的で、これは伝えたい内容の情報が多く、一度に伝えることが難しい場合に特に使えます。
例)
あなた「今回の企画ですが、B案を採用したいと思います。理由は3つ、短期の期待売上、会社のイメージ、社員への影響です。」
上司「短期の期待売上の面というのは具体的にはどういうことなんだ?」
あなた「はい、今期の期末までに期待できる売上として、B案の方が10%多く見込めます。その後はB案のアドバンテージが次第に減少し、2年後にはA案の方が単月の期待売上が高くなりますが、本企画は1年間での売上増が目的であるため、B案を採用すべきだと判断します。」
・・というイメージです。
このような説明をするとき、最初から、「B案にするべき理由が3つあって、まずは短期売上の面で~・・」と説明し始めた場合、かなり長くなってしまいます。
そもそも人の話しを聞かない人間に、「一回の説明ですべての情報を漏れなく伝えよう」とすべきではありません。だいたい途中でわからなくなります。
あえて詳細を伝えない説明をし、相手からの質問を受けて補足説明する流れを作るほうが理解させやすいものです。
なお、この方法は、プライドが高い上司にとっては「自分が主導権を握って話しをしている」という感覚にさせるという利点もあります。
受け入れやすいタイミングを見計らう
これは、どのパターンにも有効な方法です。
上司も人間ですから、イライラして落ち着かないときや、疲れているときもあります。
「このタイミングで難しい話をされても冷静に聞けないよ!」という気持ちにもなります。
そのため、上司の生態を観察し、心に余裕があるときを見計らって話しをするということも効果的です。
食後はご機嫌なのか、朝はテンションが高いのか・・などの普段の様子から、上司に余裕のあるタイミングがどこなのかを探るとよいでしょう。
なお、頻繁に報告がある場合、毎日決まった時間に報告をするスケジュールを組むのも良いことです。
毎日の習慣になれば、上司もそのタイミングで話を聞く姿勢になります。
人の話を聞けない上司でも工夫しだいで聞かせられる
このように、話を聞かない上司は困りものですが、色々な方法を行なうことで、多少言いたいことを伝えられます。
せっかちな場合は伝え方を工夫すれば伝わりやすくなりますが、思い込みや承認欲求が激しい場合は、間接的に伝えたりプライドを満たしてやるとよいでしょう。
この手の人間はだいたいが、部下の話をゆっくり聞いて理解してやるということが苦手な、器が小さいことが多いです。
そのためどうしても部下としてはストレスが溜まりがちです。
しかし、人の話を聞かない上司に対し、「いかにこちらの報告スキルを磨くか」という機会と捉え、前向きに工夫するとあなたにとってプラスになるでしょう。
上司のストレスに悩む人に向けた記事をこちらでまとめています。
