「遠くの実家に帰ります」と言って退職した部下が、なぜか同じ通勤電車で見た・・なんて経験はないでしょうか。
「嘘をついて会社を辞める」という話はよく聞きます。実際、私自身も嘘をついて職場を辞めたこともあります。
上司としては、部下に嘘の理由を言わるとショックかもしれません。
なぜ部下は辞めるときに嘘をつくのでしょうか。
また、もしあなたが会社を辞めた場合、嘘の理由を言うべきでしょうか。
今回は、そうした疑問についてまとめてみました。
部下の退職に悩んでいる人や、自分自身が仕事を辞めようかと迷っている人は参考にしてください。
目次
なぜ部下は辞めるときに嘘をつくのか
退職する理由で嘘をつくのは、あとからバレる危険性があります。それでもなぜ部下は嘘をつくのでしょうか。
これには大きく分けて2つの理由があります。
本音を言うと止められやすい
そもそも、仕事を辞める理由として圧倒的に多いのが、会社への不満です。
上司が嫌い、同僚と仲が悪いなどの人間関係や、給料や仕事内容への不満など、色々なネガティブな理由が退職の本音です。
しかし、そうした理由は、そのまま上司には言い出しにくいものです。
「仕事内容を変える」「人事異動する」などの改善策を提案されたり(しかもその改善策がきちんと実行されるとは限りません)、「そんな理由で辞めるなんで甘えだ」と叱られる可能性もあります。
つまり、ネガティブな本音を退職理由にしてしまうと、面倒くさいのです。
本音を言うと気まずい
また、辞める理由として職場への不満を吐き出してしまうと、気まずい雰囲気になることが多いです。
退職を切り出してすぐ次の日に辞めるということもないでしょうから、その間は穏やかに過ごしたいものです。
また、自分が辞めることで周りに迷惑が掛かってしまうことを考えると、職場の悪口を言って辞めるよりは、納得されやすい嘘の理由を言いたくなるのが人情です。
このように、職場の不満のような、ネガティブな本音が辞める理由の場合、言いだしにくいものです。
本音を言ってぎくしゃくするよりは、建前を使って円満に辞めるために、嘘の理由を言ってしまうのです。
嘘の退職理由の代表例
このように、退職理由として建前を使われることは多いですが、それにはいくつかのパターンがあります。
これらの理由は、切り出された時に止めにくいため、退職理由として非常に便利です。
家族の介護
遠くに離れて暮らす親が病気になり、その面倒を見るために、実家に帰らなければならない・・というのは建前の王道パターンです。
(もちろん本当の理由のこともあります。)
この理由の場合は、かなりプライベートなことなので、詳しく追及されにくいという特徴があります。
なかには「君が実家に帰っても病気が良くなるわけではないだろう」と言われるかもしれませんが、「入退院や移動に自分の助けがいる」「心配なのでそばにいる環境に変えたい」などの理由を話してスルーすれば、それ以上は言われません。
キャリアアップ
これまでの経験を活かして違う場所で頑張ってみたい、より難しい仕事に挑戦してみたい、長年の夢だった仕事にチャレンジしてみたい・・などの理由もよく使われます。
これは前向きな理由なので、止められにくいという特徴があります。
マインドの高い職場の場合、止められるどころか、快く送り出してくれることさえあります。
結婚や入籍
基本的には女性が使うことが多い理由です、
結婚を機に家庭に入る・パートナーの実家に引っ越す・・などの理由もよく使われます。
この理由で止められることはほぼありません。祝福して送り出してくれるでしょう。
しかし、祝い金をもらってしまったり、なれそめなどの質問を受けやすいため、完全な嘘として使うには大変かもしれません。
このように、辞める理由として、会社に落ち度がなく、個人的な理由である場合は、引き留めがされにくいです。
また、これらは実際に本当の理由として挙がることも多いので、退職の建前として使い勝手が良いとも言えます。
部下から本音を聞き出すには
このように、部下から建前の理由を持ち出されて辞められてしまう場合は、説得する余地がほとんどないので、引き留めがかなり難しくなります。
また、部下が辞めるようなネガティブな本音は、職場を改善するヒントになるので、上司の立場としてはぜひとも拾いたいところです。
そのため、部下からネガティブな本音を聞き出したいところです。
それにはどうすればいいでしょうか。
信頼関係を作る
普段から話を聞いてあげて理解してあげる、部下が納得できるようなコミュニケーションをとり、嘘や理不尽なことを言わないことで、あなたの人間性を信頼してくれるようになります。
このような関係ができると、「ネガティブなことを言っても大丈夫」と、本音を言ってくれやすくなります。
本音を聞き出す時間を作る
普段の業務時間の中では、部下が本音を話してくれるタイミングはないものです。
そのため、部下のネガティブな本音を引き出すような機会を、上司側が意図的に作り出す必要があります。
代表的な例が、業務時間中に個別面談の時間をとることです。
また、飲み会のような勤務時間外のコミュニケーションが取れるならば、その場で悩みがないか聞いてみてもいいでしょう。
ちなみに、部下との立場や年齢が離れ過ぎている場合は、近しい先輩社員に聞き出してもらうというのもアリです。
退職のサインを見逃さない
部下が辞めるときというのは、そのサインが必ず発生するものです。
急に暗くなったり、積極的に発言する機会が減ったりなど、注意深く見て入れば必ず何らかのサインを発します。
日ごろからその兆候に敏感になり、「ちょっと怪しい」と思ったら、上司の側から声をかけて、困っていることなどないかを聞いてみましょう。
このようなポイントを意識すれば、部下からネガティブな本音を引き出しやすくなります。
うまくいくと退職の決意を固める前に本音を拾うこともできます。
部下から嘘の退職理由を言いだされてしまうと、そこから本音を引き出すことも、退職を止めることもかなり難しいです。
そうなる前に、本音を引き出すための仕掛けを日頃から意識することが重要です。
そもそも嘘の退職理由は問題ないの?
ここまで、上司側の立場から、部下の退職の嘘についてまとめてきましたが、あなた自身が仕事を辞めたいと思ったときはどうでしょうか。
建前を使うべきか、また、そもそも嘘の退職理由は問題がないのか、という不安もあるかもしれません。
まず、嘘の退職理由を述べることは問題ありません。
そもそも法律上、退職理由を申告する義務はありません。「一身上の都合で辞めさせていただきます。」と申告するだけで良いのです。
ただし、2週間前にはその申告をすることと、最低限の引継ぎをすることは必要です。
嘘の退職理由がバレたから訴えられたなんて話は聞きませんし、辞める前にウソがばれたから退職できないなんてことはありません。
「嘘の退職理由なんて認めない、退職を撤回しろ」などというアホなことを言われてどうしようもなくなったら、退職代行サービスを利用するのがよいでしょう。
そもそも、退職理由に建前を使うのは、実社会では割と一般的な話であり、ひょっとしたらあなたの上司も、その嘘に気づきながらもあえて突っ込んでいないだけかもしれません。
そのため、あなたが建前の退職理由を使うかどうかは、
・ネガティブなことを言わずに円満退職したい
・面倒くさい引き留めを回避したい
を優先したいなら建前を使い、
・ネガティブな本音をきちんと受け止めてくれそうな会社である
・嘘をついて後ろめたい気持ちになりたくない
ということなら本音で話すのがよいでしょう。
ちなみに、退職理由に建前を使う場合、本当の理由と建前を織り交ぜながら伝えるとバレにくくなります。
最初からすべて嘘のストーリーを作り上げると、ボロが出やすいです。
できるならば嘘をつく部分が少ないほど、論理的に破綻しにくくなりまります。
日ごろから建前をうまく使っている人は、意識してみるのもいいでしょう。
部下が嘘の退職理由を言うのは普通のこと
以上のように、部下の退職理由での嘘についてまとめてきました。
スムーズな退職&円満退職のために建前を使うの一般的な話であり、法的に問題にある話でもなく、それほど罪悪感をいだくようなことでもありません。
逆に、上司の立場としては、嘘の退職理由を言われてしまうと、退職を止めることが難しいものです。
日ごろからの信頼関係を作ることと、本音を引き出す機会をうまく作ることが大切になります。
嘘や建前に頼らず、本音を言いあえる関係を作るのが、互いに理想的なのかもしれません。
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