「私は褒められて伸びるタイプなんです」と公言することが、最近若者中心に増えていると感じます。
様々なデータでも、人は褒めて伸ばしたほうが良いパフォーマンスを発揮するという結果を聞くことが多いです。
仕事場においても、何かと叱られる環境よりも、褒めてくれる環境の方が雰囲気は明るくなるものでしょう。
このように、仕事で人を育てるうえでは、叱るより褒める方が望ましいと言えます。
しかし実際には「褒めない上司」が多く、それによってやる気が出ない、付いていこうと思わない・・などの問題が起こりがちです。
褒めることにはコストもかからずに難しくないのに、なぜあなたの上司は褒めてくれないのでしょうか。
また、そんな上司に当たったときはどのように対処するといいのでしょうか。
そこで今回は、褒めない上司の理由と、その時の対処法についてまとめました。
目次
昔は「褒めない上司」が一般的だった
褒めない上司は一定以上の年齢の人間に多い傾向があります。
その理由は「過去の日本社会のノリ」にあります。
もともと日本人の職人は弟子を褒めることは少なかったといえます。
例えば、すし屋さんの弟子などは、師匠に厳しく叱られ、その技は目で盗み上達するものだというイメージがあるでしょう。
今はこのような環境は一般的ではないと思いますが、日本人は伝統的に仕事では下の者を褒めない価値観があるのかもしれません。
また、行動経済成長期の時代は、仕事を頑張れば頑張るほど出世や給料増が期待できる時代でした。
そのために、パワハラ上等の体育会系でバリバリ厳しくしごくような接し方をされ、なにクソと奮起し、気合と根性で乗り切った先には出世や給料アップがありました。
もともと褒められない環境でも、体育会系のノリでゴリゴリ乗り切るだけで成功していたのです。
環境の変化に適応できなと「褒めない上司」となる
しかし、現在はもちろん環境が違います。
現在の低成長時代では、ただ頑張るだけでは成果は出ず、工夫改善やアイディアなどで成功する企業とそうではない企業で分かれます。
とはいえ現在の上司や経営層に当たる年代は、自分がバブルの時期にイケイケで仕事をしてきた世代です。
しかし、時代が変わり、以前のように黙っていても待遇が良くなる環境ではなくなったり、転職が一般的になりました。
そうなると、「待遇もよくならないし、怒られまくる環境」であれば、若者ほど仕事に嫌気がさして転職することが多くなってしまいます。
それを防ぐために、褒める能力などのコミュニケーション能力の必要性が時代とともに高まってきます。
このようにして、時代の変化によってあるべき姿も変わるのが世の常ですが、それに適応できる上司とそうでない上司がいます。
適応できない上司は自分の成功体験にしがみつき、今の若手も当時の自分と同じように接すれば伸びると考えてしまいます。
それに対し、時代の変化に適応する上司は、上手く褒めることができるようになりますが、そうでない上司は相変わらず褒めずに叱り続けるのです。
あなたの上司が環境に適応した人であれば褒めて認められ、モチベーション高く仕事が出来ます。
しかし残念ながらそうでない上司の場合は、古いノリで接されてしまい、部下の気持ちを萎えさせるという事態になるのです。
上司が褒めてくれなくてもやる気を出す方法
それでは、上司が古いノリであなたを褒めてくれない場合、どのようにしてモチベーションを高めるのがよいでしょうか。
一番は「上司が褒めなくてもやる気を高める方法を持つこと」です。
古いノリの上司は、もう何十年もかけて今の価値観を作り上げているので、今さら部下のあなたが何か働きかけても、そうそう変わることはないと考えたほうが現実的です。
自分のやる気の出る出ないを上司に頼るのではなく、自分自身の心がけでやる気をコントロールすると考えるのです。
そのための方法を3つご紹介します。
自分自身の成長目標やキャリアを描く
仕事を通じて、自分がどんな風になりたいかというイメージを描きます。
そして、それを実現するために、1年後・半年後・3か月後にどうなりたいかもイメージすると、今月に自分がやるべきことの目標が見えてきます。
その内容を、紙や手帳に書き出して常日頃自分に意識させることが重要です。
その目標を設定し、一ヶ月が過ぎたあとに目標の達成未達成を振り返り、次の一か月をどうするかまた目標を決める・・ということを繰り返せば、上司などに左右されずに、自分で仕事のやる気を上げることができます。
このような方法は、以前読んだ本「一冊の手帳で夢は必ずかなう」の内容を踏まえて実践したものです。
本書の内容をすべて実践するのはなかなか大変だとは思いますが、この方法を詳しく知りたいという人は参考になります。
目の前の仕事の目標を定める
なりたい自分を明確に描くことは結構難しく、できない(やりたくない)人もいるかもしれません。
そういう人は、まず目の前の仕事の目標を定めてみましょう。
- 普通のスピードよりも速く終わらせる
- いつもよりも質のよい資料を作る
- これまでの自分の成績を更新する
など、あなたの仕事に合わせて、自分なりの小さな目標を定めてみましょう。
このような小さな目標を定めるコツは、自分の利益に絡めることです。
- 早く仕事を終わらせて残業をなくしたい
- 仕事に余裕をもって精神的に楽になりたい
- スキルアップしてよりいい会社に転職したい
など、会社や上司から求められる期待などとは一切関係のない、あなた自身のメリットから考えると、自分でもしっくりくる目標を定めやすいです。
目標となる人を自力で探す
自分が憧れる人、なりたい人が明確にあると、やはりモチベーションがあがります。
部下を褒めず、モチベーションを下げる上司のことは意識せず、あなた自身が憧れる人を探してみましょう。
他の部署などにそういう人がいないか探してみたり、書籍やセミナーを利用するのもアリだと思います。
理想とする人が見つかれば、「この人に近づくためにはどうすればいいか」と自分の目標が見つかるほか、ピンチの時も「この人ならこんなときどうするか」と考えることもできます。
こちらの記事では、リーダーシップについてのオススメの本を紹介しています。
もしあなたが中間管理職として悩んでいる場合は、これらの本の内容や、筆者の考え方が参考になるかもしれません。
上司など気にせず自分で自分のやる気を上げよう
このように、「人に褒められるかどうか」をやる気の源泉にするのではなく、自分の行動や習慣によってやる気を高めるのは非常に重要です。
なぜなら、大きな成果を上げたいと望んだ場合、自分で人を巻き込み、人を動かさなければならないからです。
つまり、成功したいと思ったら、あなた自身が褒められる立場ではなく、褒める立場になる必要があるのです。
会社で立場が上がってくると、部下の数が増えて上司の数が減るため、褒めてくれる人が減り、褒めなければならない人が増えます。
そのときに、人に褒められることをやる気の源泉にしてしまうと、その機会も減り、やる気が伸びにくくなってきます。
そのため、将来的に仕事で成功したい人は、褒めない上司の存在を「自力でやる気を高める方法を身に着けるチャンス」と考えましょう。