部下を育てるうえで大切なポイント

何度叱っても同じミスをする部下は、いったい何を考えているのか?

同じミスを繰り返す部下にイライラしている様子

何度叱っても同じミスをする部下はいませんか?

何回注意しても同じようなミスを繰り返されると、周りの社員のストレスになります。

叱る側の上司にとっても、何回も叱るのはエネルギーを使うものです。

 

また、叱られた部下のモチベーションが下がり、人間関係が悪くなるのではという心配もあるでしょう。

何度叱っても同じミスをする部下はとても厄介ですが、その部下が同じミスを繰り返す原因が上司の叱り方にあるケースもあります。

実際、何度も同じミスをする部下には必ず理由があり、それを踏まえて上手く叱ることで、同じミスの繰り返しを防ぐこともできるのです。

 

そこで今回は、部下が同じミスを繰り返さないための叱り方をまとめました。

このポイントを押さえれば、「何度注意しても改善されない・・」という悩みから開放されるでしょう。

目次

同じミスを繰り返す部下の心理

まずは、なぜ部下が同じミスを何回も繰り返す理由を把握しましょう。

あなたにとっては理解しがたい心理かもしれませんが、同じミスを繰り返し、行動が改善されない部下にはそれなりの理由があります。

まずはそれを理解することが重要です。大きく分けて3つの理由があります。

 

①叱られ慣れてしまう

最初に叱られたときは素直に聞き入れ反省するものの、だんだんと色んなことで叱られ続けてしまうと、叱られ慣れてしまいます。

叱られることに慣れてしまうと、反省よりも「話が早く終わらないかな」と考えたり、「どうやってこの場を切り抜けようか」という思考になってしまいます。

こうなってしまうと、「馬の耳に念仏」状態となり、こちらが言うことは全く相手に届きません。

そのため、「同じことで何度も叱る」というパターンに陥らないようにしなければなりません。

 

②自信を失ってしまう

特に、感情をむき出しにして怒った場合は部下が萎縮してしまい、普段出来ていたはずのことも出来なくなることがあります。

「叱る」という行為は相手の気を引き締める効果もありますが、叱り方によっては相手の自信を失わせる危険もあります。

自信がないと本来の力を発揮することも出来なくなり、結果ミスが直らなかったり、以前は起こしていなかったミスを生むことがあります。

部下がこういう状況になった場合は、怒鳴ったり厳しく接することを控えたほうがよいでしょう。

 

③誰かが何とかしてくれるだろうと思っている

部下のミスを上司や先輩が尻拭いすることも多いものです。

多くの部下は、自分の代わりにフォローしてくれる先輩社員を見て、感謝したり反省しますが、中にはそれに甘える社員もいます。

「自分がうまく出来なくても、周りが何とかしてくれるだろう」「間違っても謝れば済む、責任は誰かが取ってくれるだろう」と考えてしまうと、たいして反省もせず、また同じミスを繰り返します。

同じミスを繰り返す部下への対策

叱っても同じミスを繰り返す部下にはこのような理由があります。

そのため、叱り方に注意する必要があります。ここでは3つのポイントをご紹介します。

 

①感情を抑えて叱る

感情をむき出しにして怒ると、相手を萎縮させるか反発させるリスクがあります。

叱るときには冷静に、相手のことを思いやりながら叱るべきです。

特に、「だからお前はダメなんだ!」というような曖昧に否定するような言葉をかけた場合、部下は具体的にどうしたらいいか分かりません。

感情的になってしまうと、こういう曖昧な発言をしやすくなります。気持ちを落ち着かせ、何がいけなかったのかを理解させるように叱りましょう。

 

②その場でやり方を再現させる

叱る一番の目的は再発防止です。

そのために、「具体的にどうすればよかったのか」をその場で部下に再現させましょう。

「再発しないよう気をつけろ」と口で話して終わりにしてはいけません。

どんな仕事でも、「頭では分かっていても、その通りにできない」ということがあります。

そこで、実際に再現するという動作を取らせることで、体で覚えさせましょう。

 

③何回も叱らない

先ほどもご紹介したとおり、何回も叱ってしまうと、最初は反省をしていた部下も、だんだんと慣れてしまい、叱られても響かなくなってしまうのです。

これを防ぐためには、ミスの原因と対策を部下自身に考えさせましょう。

なかなか考え付かないようであればヒントを与えながら、自分で答えさせます。

 

そして自分で考えた対策をきちんと実行させましょう。

その対策を部下が本当に実行しているかどうかマメにチェックするのです。

実行していれば褒めてやり、出来ていないようであればプレッシャーをかけましょう。

 

このように接することで、ミス防止の行動を強制的にとらせることになります。

そのため、同じミスが起きなくなり、同じことで叱らなくても済むでしょう。

また、ミスをした部下にとっては新しい行動を強制されるので、「ミスしたら怒られて終了」という話ではなくなります。

「この上司の元でミスをしたら面倒くさいことになる」と感じさせることが出来れば部下の気も引き締まります。

何度言ってもわからない部下は反発が原因かも

密かに反抗している部下のイメージ画像

このような対策を取れば、部下を同じミスで叱るということがなくなるでしょう。

しかし、同じミスをする原因が「会社やあなたへの反発心」にあるようならば話は変わります。

会社や上司のあなたに部下が反発している場合、指摘や注意を受けても素直に受け取らないことがあります。

 

このような状態の時にただ叱るだけでは、ふてくされ、周りに愚痴を言い、そして最悪の場合は退職してしまいます。

叱ることが部下にとっても周りにとっても逆効果にしかなりません。

こうなってしまった場合は、相手に反発心を起こさないように叱ることが必要です。

反発心から何度言っても直らない部下の対応法

では、相手に反発心を起こさせない叱り方とはどのようなものなのでしょうか。

ここでは3つの方法をご紹介します。

 

①期待をかけながら叱る

期待をかけながら叱るというのは、例えば「君は見込みがあるから、今の仕事で成功して将来活躍して欲しい、そしてもっと高いレベルで一緒に仕事をしたいんだ」という言い方をすることです。

ただ叱るのではなく、期待かけを行なうことで、本人の前向きな気持ちを呼び起こすのです。

自分が期待されていると言われて気分を悪くする人はいません。

 

また、日本では「期待している」という気持ちをまっすぐに伝えられることはあまり多くありません。

そのため、このように言われることで前向きになり、「改善しよう」と考えることが期待できます。

 

また、これに近い方法として、相手の能力を認めつつ叱るというのもあります。

「君ほどの人物が、なにをこんなミスをしてしまったんだ」という言い方をすることで、相手を褒めながら叱るという形になります。

褒められながら叱られるため、反発する気持ちを起こさせにくくなります。

これは自他ともに認める実力の持ち主で、特にプライドが高い相手に特に有効です。

 

②自分を主語にする

「君はこの部分がダメだな」「あなたは注意が足りないと思う」というように、主語を「あなた」にした言葉は、相手に反発させやすいと言えます。

この言い方だと、「いや、私は十分注意しています!」というように開き直られる可能性があります。

また、この言い方は相手を決め付けるような意味合いがあり、聞く側にとっては気持ちいいものではありません。

そこで、「私は、君の注意がまだ足りていないと思う。なぜなら~」という言い方をすると、相手のことを決め付けるのではなく、自分の考えを伝える形になり、やわらかい印象になります。

 

③クッション言葉を使う

指摘する言葉を伝える前に、「話しにくいことなんだけど・・」「嫌な話になっちゃうけど・・」という言葉を伝えましょう。

このような言葉によって、相手を思いやる気持ちが伝わり、相手も続く言葉を受け入れやすくなります。

このような言葉は「クッション言葉」と呼ばれ、相手にこちらの言いたいことを受け入れてもらうために有効な方法です。

別の記事では「前置き言葉」として詳しく紹介しています。

部下がスムーズに指示や命令を聞き入れてくれる「前置き言葉」のパワー

 

同じミスを繰り返すのは病気の可能性も

このように、叱っても同じミスを繰り返す部下への理由と対処についてご紹介してきました。

ご紹介してきた対策をとることで、同じミスを繰り返すことを防げます。

何度叱っても同じミスを繰り返す部下の心理を知り、適切に対処しましょう。

 

しかし、叱っても何度も同じミスを繰り返す部下の中には、ストレスが溜まってうつ状態になっている場合や、発達障害のために人の話を理解できない、という場合もあります。

特に、何度注意してやり方を伝えても、難しくないはずの事務処理が覚えられなかったり、人とのコミュニケーションが上手く取れない場合はその可能性が高いでしょう。

うつ状態ならば休ませることが必要で、発達障害の疑いがある場合は配置転換を提案しましょう。

配置転換を上に提案する場合は、叱った内容や叱られたときの様子、その後の行動などを客観的に上司に伝えられるように記録に残しておくことが必要です。

 

このように、病気や障害が原因の場合は、本人や周りが改善させられません。

まずはこの記事でご紹介した対応法を参考にしてもらいつつ、色々対処してもどうしても改善されない場合は、病気や障害ではないかと考えることも必要です。

こちらも参考になります。

部下の叱り方が分かっている上司は、部下を変えることができる。

 

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