転職活動では、履歴書に加えて職務経歴書を作成しなければいけません。
職務経歴書は、自分のこれまでの経歴をまとめる書類で、履歴書には載せきれない経験業務やスキルを伝える役割があります。
そのため、職務経歴書は書類選考を通過するために非常に重要な要素で、転職活動を成功させるためには避けて通れないものです。
しかし、自分の経歴をまとめ、それをアピールするように書類を作るのは面倒なものです。
そこで今回は、私が実際に転職活動を進めるうえで、職務経歴書を作成するときに学んだポイントをご紹介します。
一度作成してしまえばあとは楽なので、面倒くさがらずに作成しましょう。
目次
職務経歴書には3つの書式がある
履歴書の書式は一種類しかありませんが、職務経歴書は三種類あります。
それぞれメリットや用途が違いますので、自分にあった書式を選択しましょう。
①編年体式
履歴書と同じようなイメージで、時系列に経歴を載せる形です。
自分の経歴を古い順番に見せていくので、順を追って理解してもらいやすいメリットがあります。
その反面、途中で職種が変わり、過去の経歴があまりアピールにならない場合は、最初に見せるよりも後半に載せたほうがよいとも言えます。
オススメなケース
・第二新卒など、社会人経験が短い(10年以内)の場合
・一貫して同じ職種(業界)の経験で、今回も同じ職種(業界)で転職を狙う場合
②逆編年体式
言葉の通り、編年体とは逆の形式で、最近の経歴を一番最初に持ってきて、その後過去にさかのぼるように載せていく形です。
直近の経歴を最初に見せるので、過去の経歴よりも直近の経歴をアピールしたいときに効果的です。
逆に、履歴書とは逆の時系列になるので、相手が混乱してしまいやすいリスクがあります。
オススメなケース
・途中で職種(業界)が変わり、直近の業務をアピールしたい場合
・社会人経験が長く、昔の経歴がアピールにならない場合
③キャリア式
時系列は一切関係なく、自分の経験業務別にまとめる形式です。
「営業に関する経験」「事務に関する経験」「人事に関する経験」など、自分の経験業務別にまとめます。
相手が時系列形式に慣れている場合は少し理解しにくいのですが、複数の職種経験を整理して伝えたいときに効果的です。
オススメのケース
・複数職種を経験を効果的にアピールしたい場合
・応募職種(業界)の特性上、キャリア式の伝え方が効果的である場合
このように、いくつかの書式から自分にあったものを選択しましょう。
私自身の経験から考えると、基本的には編年体式が相手に伝わりやすいと思います。
多くの場合は履歴書と照らし合わせて書類を確認するからです。特に第2新卒や30代は編年体が無難でしょう。
ただし、直近の経験を最もアピールしたい場合は逆編年体式がオススメです。
キャリア式は基本的には避けたほうがいいでしょう。
編年体や逆編年体ではどうしてもうまくまとめられない(アピールできない)場合に検討するくらいでいいと思います。
このように、職務経歴書の書式をご紹介しましたが、一番重要なのは、作成したあとに転職エージェントに見てもらうことです。
「構成がこれでいいかというレベルからアドバイスをください」とお願いすれば、多くのエージェントはしっかり添削してくれます。
また、あなたと同じような経歴や応募先の職務経歴書を見ているので、その経験から、あなたにあった書式のアドバイスをくれるでしょう。
職務経歴書の構成
書式が決まったら、実際に職務経歴書の作成作業に入ります。
職務経歴書の構成はどの書式でもだいたい共通しており、
・職務要約
・職務経歴
・生かせる知識・スキル
・自己PR
の4つです。順番に解説していきます。
①職務要約
「職務経歴」の内容を要約して、文章にしたものです。自分がどんな経験をしてきたかをまとめましょう。
この部分は簡潔にまとめ、長くても5行くらいに抑えます。
ちなみにこの内容は、面接に臨むときの自己紹介として話す内容にも流用できます。
②職務経歴
履歴書には書ききれない、勤務した経験や取り組んできた業務を詳細にまとめます。
この部分が編年体式・逆編年体式・キャリア式で書式が大きく異なります。
編年体は時系列でまとめ、逆編年体式は直近からさかのぼるように、キャリア式は経験職種ごとにまとめます。
③生かせる知識・スキル
職務経歴の中で、応募先企業でも発揮できそうな知識やスキルをピックアップしましょう。
代表的なものは以下のものです。
・管理職経験
・専門的なスキル
・OAスキル
・コミュニケーションスキル
④自己PR
職務経歴や生かせる知識・スキルの中で、とくにアピールしたい部分を文章としてまとめます。
この部分では、自分の経験を述べるだけではなく、仕事を通じてどのようなことを意識したか、どのような工夫をしたか、どのようなことを学んだか、という点にまで踏み込んで文章化しましょう。
また、「自分のこのような経験を生かし、貴社ではこのような仕事ができる」という文章にするのも効果的です。
いずれにせよ、応募先の企業で求められる人物像や役割にフィットするような点を選んで文章化することが重要です。
ただし、文章化するといっても一つのポイントについて長々と文章にするよりも、一つのポイントについては長くても4行くらいにし、複数のポイントを取り上げるほうがよいでしょう。
そして、最後は必ず「応募先企業への意気込み」で〆るようにしましょう。
以上のような構成で職務経歴書が確認できます。
イメージが湧かない人は以下のページで確認すると良いでしょう。ここで紹介している内容と少し違う部分がありますが、イメージはつかめます。
職務経歴書を書きたいあなたへ!職務経歴書フォーマット【書き方見本付】
職務経歴書の作り方のコツ
このように職務経歴書は4つの構成から作成できますが、その一つひとつはどのように作成していけばいいでしょうか。
作成する順番も含めて、コツをまとめました。
①職務経歴から作成する
まずは職務経歴から作成します。編年体式や逆編年体式は、履歴書と同じように、勤めた企業ごとに区切るとよいでしょう。
配属先や、メンバー数と自分の役割、(あれば)職位と業務内容をまとめます。
自分が取り組んでいた業務内容を箇条書き形式でまとめ、読み手にあなたの仕事内容が具体的にイメージできるようにまとめます。
②職務要約を作成する
作成した職務経歴をもとに、それを要約する形で職務要約をまとめましょう。
ここでは自分の意気込みや思いは入れず、自分が経験してきた職務の事実だけを文にしましょう。
また、要約として取り上げる部分は、あなたが最もアピールしたい部分を選びましょう。
どの部分が自分で取り上げるべきか分からない場合は、転職エージェントに相談するのが良いでしょう。
③生かせる知識・スキルを作成する
続いて、職務経歴から応募先企業に生かせそうな知識やスキルをピックアップします。基本的には3つほどがよいでしょう。
代表的なものは、先ほども紹介している次の4つです。
・管理職経験
これについて触れる場合は、何人の部下を持ち、管理職としてどのような役割を果たしたかについて載せましょう。
・専門的なスキル
経理や人事の諸手続き、プログラミングの知識、クレーム対応などの顧客折衝など、具体的な内容を載せましょう。
・OAスキル
word、ecxel、powerpointなどの使用経験やどこまでの機能を使いこなせるかについて触れましょう
・コミュニケーション能力
どのような相手に、どのような交渉をしたのかを明確に載せましょう。
(部下や他部署を巻き込んで社内プロジェクトを実現させた、顧客から信頼を得て受注につなげたのか、など)
載せたい候補がいくつもあり、選択に困る場合は、応募先の求人票に載っている「応募要件」の「必須要件」や「歓迎要件」に合うものを選ぶのがベストです。
④自己PRを作成する
ここまできたら、最後に自己PRを作ります、
自己PRでは、アピールしたいスキルや経験を載せるだけではなく、そこに「工夫したこと」「意識したこと」「学んだこと」にも触れます。
このような内容を載せるためには、自分自身のキャリアの棚卸しをする必要があるでしょう。
こちらの記事を参考にしてください。
このように自分のキャリアを整理して、それを自己PRに反映させましょう。
キャリアの棚卸しは正直面倒くさいですが、棚卸しの内容を自分の頭に入れておくと、面接で自分の経験について突っ込まれたときに、説得力ある返答ができます。
そして、自己PRの最後には必ず意気込みを入れましょう。
もし採用に関する懸念(必要な経験が足りないなど)がある場合は、「○○の経験は不足していますが、事前に勉強してスキルを身につけます」のような内容も盛り込むと効果的です。
職務経歴書はA4サイズで2枚がベスト
このようなステップを踏めば職務経歴書ができますが、実際サイズや枚数はどのくらいがベストなのでしょうか。
まず、サイズはA4で間違いありません。履歴書がA3サイズで一枚、職務経歴書はA4サイズだとバランスが取れます。
枚数については転職サイトのアドバイスでも諸説ありますが、私は2枚がベストだと思います。
自分自身が採用面接をする側だったので分かるのですが、応募書類を読み込むのは手間がかかるものです。
また、役員レベルが採用面接をするときには、事前に書類を読み込むことはほとんどありません。
面接のその場で確認したり、事前に読むにしても直前に確認、というパターンが多いです。
そうなると、何枚にも渡る職務経歴書だと読む気をなくしてしまいます。
そのため、内容を充実させつつ、枚数は極力2枚(多くても3枚)に抑えましょう。
スペースが足りない場合は、余白を少なくしたり、文字のフォントを小さくするのが効果的です(私はデフォルトの10.5ではなく、10にしました)。
職務経歴書のフォーマットはダウンロードできる
また、職務経歴書の作成の際には、大手転職サイトからダウンロードできるフォーマットを参考にすると良いでしょう。
ただし、いくつかの大手サイト間でもフォーマットは微妙に異なりますので、絶対的なものはありません。
私は最初、大手サイトのフォーマットに合わせて作成しようと思いましたが、盛り込みたい内容を上手くまとめることができず、自分なりに構成を調整しました。
無理にあわせず、あくまで参考程度にして作成するのがよいでしょう。
職務経歴書をどのように見られるかを意識しよう
以上のようなポイントを押さえることで、職務経歴書は作れると思います。
職務経歴書は履歴書に比べて個人差が大きく自由度も高いので、上手く作成できるかどうかが書類選考の通過率に大きく関ります。
応募したものの、書類選考が思わしくない場合は、転職エージェントに相談しつつ、改善することが大切です。
また、改善する際には、「採用する側の視点と特徴」をもとに考えるとよいでしょう。
採用の可否を出す担当者は2種類います。
①人事・現場担当者
人事担当や、募集している部署の責任者です。
彼らが見るポイントは以下の2点です。
・ビジネスマナーが身についているか
・業務をこなす能力があるか(即戦力になるか)
ビジネスマナーが身についているかどうかは、不備のない書類が送られていれば問題ないでしょう。
問題は、「業務をこなす能力があるかどうか」というポイントです。
書類上でのスキル・経験が相手に正しく伝わらないと、「この書類を見る限り、ウチの会社で必要な能力がない」と見なされて落ちてしまう危険があります。
経験やスキルは十分なのに、書類選考を通過しない場合は、「必要とする能力や経験がある」ことが伝わる内容かどうかの確認をしましょう。
②社長などの役員クラス
採用の最終決定権を持つ役員です。小さな企業では社長であることもままあります。
彼らが見るポイントは以下の2点です。
・入社意欲の高さ
・人間性や価値観が社風に合うか
基本的にはこのクラスが書類選考をすることはありませんので、職務経歴書にはこのような点を盛り込まなくても通過する可能性が高いと言えます。
しかし、中には人間性や意欲を書類から見るように指示を受けている可能性があったり、役員クラスが書類に目を通す可能性も0ではありません。
そのため、自己PR部分の最後の意気込みの部分や、「工夫したこと」「意識したこと」「学んだこと」の内容を、企業の求める人物像にリンクさせることで、このような場合にも対応できます(また、役員による面接時に有利に働くでしょう)。
必要経験やスキルのアピールよりも優先度は低いですが、余裕がある場合はこの視点からも確認しましょう。
職務経歴書の改善で通過率が跳ね上がる
以上のような点を抑えて職務経歴書を作り、選考結果にあわせて改善を進めることで、転職活動を有利に進められます。
実際私は、最初に作成した職務経歴書では書類選考の通過率は30%ほどでしたが、エージェントのアドバイスも受けつつ、これらを踏まえて改善したところ、通過率が85%ほどに跳ね上がりました。
あくまでこれは一例ですが、書類選考の通過率が低い場合は、職務経歴書を改善することで通過率は多少なりとも変わるはずです。
書類選考に自信がない人や、苦戦している人は参考にしてみてください。
