仕事をする仲間には、経験の浅い新人もいれば、経験豊富なベテランもいるでしょう。
新人や部下に対しては当サイトで多く取り上げましたが、ベテランと仕事をするうえでの大切なことはあまり触れていなかったと思います。
ベテランの社員は仕事上では頼りになりますが、意欲が無かったり素直に指示や依頼を聞いてくれないということもあり、こちらの対応力が求められることもあります。
今回はその点について、教えてくれるキャラクターがいたのでご紹介します。
ネットで公開されている『HOT BLOOD』という野球マンガの、鳩村というキャラクターです。
↓鳩村(キャッチャー)
(出典:「HOT BLOOD」)
このマンガ、日本のプロ野球をイメージした舞台で、男性に混じり女性が選手として活躍するという設定が特徴的です。
その設定自体は奇をてらっている感がありますが、野球に関する理論に詳しい本格的な一面もあります。
目次
ピッチャーとキャッチャーの関係性の妙
今回ご紹介したいのは鳩村のベテランへの対応力です。
鳩村はキャッチャーなのですが、竜飛岡(たぴおか)というピッチャーとバッテリーを組み試合に臨む場面があります。
↓竜飛岡(ピッチャー)
(出典:「HOT BLOOD」)
基本的にはキャッチャーが指令役として、ピッチャーに投げる球を指定するのですが、ピッチャーはだいたい「お山の大将」的な気質であることが多く、プライドが高い傾向があります。
この竜飛岡は穏やかな性格ながらベテランの選手で、鳩村のほうがキャリアが上という関係ではないようです。
そのため役割上は、鳩村が竜飛岡に指示を出すことになるのですが、「黙って従え」的な上から目線の指示は出しにくい関係だと想像できます。
こういうシチュエーションは実際の仕事上でもありうると思います。
ピッチャーの気持ちを尊重する鳩村のリード
さて、そういう関係性の中、試合に臨んだ二人にちょっとしたトラブルが起きます。
いつもならストライクと判定されるギリギリのコースに対して、審判がボールの判定をしたのです。
当然竜飛岡としては面白くありません。彼は特にコントロールのよさが強みである投手なので、ストライクギリギリのコースなのにボールと判定されるのは死活問題です。
そこで、この状況で鳩村が出した竜飛岡への指示と、その後に対応に感心させられます。
彼は竜飛岡に4球連続で同じコースに投げさせます。そうなると当然フォアボールの判定となり、出塁を許してしまいます。
しかしこの行為を通じて、鳩村は審判に無言の抗議をします。「このコースは普通ストライクではないか」と。
この行為によって、竜飛岡に対しては鳩村は2つのメッセージを送っています。
まず一つは「今日は何球投げてもこのコースはストライクにはならない。だから気持ちを切り替えて他のコースで攻めよう」ということ。
そしてもう一つ、審判に対しての抗議によって「ちなみに俺も審判の判定には納得していないけどね。」というメッセージを伝えることにもなります。
↓相手チームの監督による鳩村の解説
(出典:「HOT BLOOD」)
普通、フォアボールを出すというのは試合に負けてしまうリスクのある、避けるべき行為です。
しかし、そのリスクを犯してまで竜飛岡のプライドを守るための行為を行うことで、竜飛岡本人も意気に感じることでしょう。
相手のプライドをくすぐることが大切
ベテラン社員は自分の仕事にプライドを持っていることが多いです。
そして、自分に指示を出す人間が自分のプライドを傷つけるような行為を嫌がります。
年齢や社歴が上の人物からだとまだ我慢しやすいですが、年齢などが自分よりも下の人間にプライドを傷つけられるようなことをされると「こいつは何もわかっていない」と思われ、スムーズに仕事をするのが難しくなるでしょう。
そのため、相手のプライドをくすぐりながら仕事をすることが重要になります。
鳩村は、その具体的な方法の一つとして、竜飛岡が審判にプライドを傷つけられたとき、鳩村自身が不満を表明するという姿勢を見せています。
もし竜飛岡のプライドを無視し、一球で「審判にボールといわれたから今回は諦めよう」というような意思表示をしたら、竜飛岡としては面白くないはずです。
今回は野球というシチュエーションでしたが、同じようにベテランのプライドを守るというスタンスは、実際のわれわれの仕事でも重要なことだと思います。
鳩村の行動に学びたいですね。
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