職場には、「セクハラ」「パワハラ」上司など色々な困った上司がいるものですが、最近は「モラハラ」という言葉が広まってきています。
「モラハラ」とは、言葉や態度で相手に精神的な苦痛を与えることを意味し、仕事のやる気を奪わせたり、最悪な場合は精神的な病になってしまう危険性もあります。
しかし、精神的な苦痛というのは、なかなかわかりにくくいものがあります。
そこで今回は、モラハラ上司のよくあるパターンや、その対象法などをまとめました。
「モラハラを受けているかもしれない」と感じている人や、「モラハラ上司にどう対応したらいいかわからない」という人は参考にしてみてください。
目次
モラハラ上司の5つのパターン
一口にモラハラ上司といっても、それには色々なパターンがあります。
まずは、あなたの上司にこういう面がないかどうか確認してみるとよいでしょう。
いじめや嫌がらせ
これは非常にわかりやすいパターンです。
理不尽に叱ってくる、仕事のやり方をろくに教えない・・など、まともに仕事ができないような接し方をしてくるのは,モラハラと言っていいでしょう。
未熟な上司の場合、教え方や指示の出し方が下手というケースもありますが、あからさまに仕事を教えないなどの場合はモラハラに当たります。
また、叱るときに「そんなこともできないのか」「使えないやつだな」と罵倒してくるような人格否定もモラハラです。
仲間はずれ
仕事上の連絡が自分だけ来ない、メールが送られない、という仲間外れのパターンもあります。
陰口をたたかれたり、飲み会に呼ばれなかったりというケースもあり、このような小学生のいじめみたいなモラハラもあります。
プライベートに干渉される
休日や就業時間後も仕事の連絡が来たり、仕事以外のプライベートの連絡が送られ、返信を強要されるのもモラハラです。
また、飲み会を強要されたり、プライベートなことをやたら聞かれ、それを言いふらされたりというのもモラハラに当たります。
「早く結婚しろ」「恋人いないのか」というプライベートについてのダメ出しも同様です。
仕事を与えない・押し付ける
仕事を与えられなかったり、シュレッダーがけのような単純すぎる仕事しか与えないというのもモラハラに当たります。
また、逆に仕事を過度に押し付けたり、本来の業務以外の雑用を大量に押し付け、本来の業務に着手できないというのもモラハラです。
環境型モラハラ
これまで紹介してきたような行為を受けるとモラハラになる一方、自分が直接の被害者ではなく、他の人が受けている状況もモラハラになります。
他の人が罵倒されていたり嫌がらせにあっていると、「自分も被害に遭うのではないか」という不安から精神的なダメージを受けます。
このように、特定の人物へのモラハラは、被害者だけではなく、周りの人にとってもモラハラにもなりえます。
モラハラ上司はなぜ生まれるのか?
このように、モラハラには色々なパターンがあります。
しかし、このようなモラハラ上司はなぜ生まれてしまうのでしょうか。
モラハラ上司には、「自己肯定感が低い」という特徴を持っていることが多いです。
これは自分に自信がないと言い換えることもできます。
自分に自信がないため、相手を否定したり攻撃することで自分を優位に立たせようとしてしまうのです。
また、他人との距離の取り方がわからず、過度に突き放したり干渉しようとしてしまいます。
このような思いからモラハラ行為に及び、本人はモラハラだと自覚無しにやっているケースが多い傾向にあります。
また、自己肯定感が低い原因としては、上司としての経験が足りず、管理職の仕事の自信がないケースもあれば、幼いころの家庭環境が悪く、親から十分な愛情を注がれていなかったというケースもあります。
いずれにせよ、モラハラが行われるのは、上司の人格や能力に原因があります。
モラハラ上司の対処法・撃退法
では、あなたの上司がこのようなモラハラ人間だった場合、どのように対応をすればいいでしょうか。
重要なポイントをご紹介します。
真に受けない・スルー
先ほども述べた通り、モラハラが発生するのは上司の人格や能力に問題があります。
モラハラを受けるあなたに問題があるわけではありません。
モラハラは、叱られる・指摘を受けるという行為とセットになることが多いため、「自分も悪い」「我慢しないと」と考えてしまうケースがあります。
しかし、適切な叱り・指摘とモラハラは一見似ていますが、全く違います。
ここで紹介してきたような行為をしている上司は、「上司」ではなく「モラハラ人間」だと認識し、その言動を真に受けることは止めましょう。
同じ職場内で仲間を作る
モラハラ上司は、色んな人にモラハラをまき散らすことが多いものです。
そのため、被害を受けるのはあなただけではないこともあります。
同じように被害を受ける人がいたら、彼らと仲間を組みましょう。
「あんなことがあった」「こんなことがあった」と互いに思いを伝えあうだけでも気持ちがスッキリし、お互いに励まし合うことで精神的に楽になります。
また、仲間を作っておくと、モラハラの証拠を集める時に便利です。
社内窓口に相談する
ある程度の企業なら、社内の相談窓口が存在します。
というのも、企業は法律でパワハラの対応窓口を設けることが義務づけられているからです。
そのため、上司からのモラハラをその窓口に相談するという手もあります。
ちなみに、このような窓口に相談するときは、「モラハラを受けている」ではなく「パワハラを受けている」という体で相談しましょう。
実際これまで上げてきたようなモラハラは、パワハラとして相談しても何ら問題のないものばかりです。
窓口を設けることが義務付けられているので、パワハラとして相談されると、会社側としても対応しないわけにはいきません。
社外窓口に相談する
また、相談窓口は社内だけなく社外にもあります。
代表的なものは労働基準監督署でしょう。また、弁護士に相談するというのも効果的です。
労基に相談することで、労基から会社に改善するように勧告が入ります。
普通の企業なら、労基から勧告が入ることで何らかの対応がとられます。
しかし、会社自体が腐っている場合は、勧告が入っても変わりません。
このような場合は、弁護士に相談して告訴するという方法もあります。告訴まで行かずとも弁護士を通じた通知は労基よりもインパクトがあります。
なお、弁護士に相談する場合は、「労働問題に強い弁護士」にしましょう。
医者でも内科や眼科などの専門があるのと同じイメージで、弁護士もそれぞれに得意分野があります。
このように、社外に相談するのは強力な分、あなたの労力もかかるので、まずは社内の相談窓口に相談してみましょう。
相談しても十分な対応がされない場合や、社内にまともな窓口がなかったり、その窓口が信頼に値しない場合ば社外の窓口に相談するとよいでしょう。
モラハラ上司を訴えるときは証拠が重要
モラハラ上司を撃退するには、このように社内や社外の窓口に相談するのが強力ですが、その時に最も重要なのは、証拠を残すことです。
音声データを録音したり、送られてきたメールやLINEは必ず残しておきましょう。
また、上司から受けた行為を時系列に沿って、ノートにまとめましょう。
そのときに、あなたがどのような印象を受けたのかということも合わせて記録しておくとなおよいです。
なお、パワハラが原因で心療内科などに行った場合は、その診断書も入手しておきましょう。
ここで挙げたものをすべて揃えている必要はありませんが、モラハラ行為の記録と、メールやLINEの文章くらいは最低限用意したいところです。
モラハラ上司が嫌なら転職もあり
モラハラ上司を撃退するという点では、このように相談窓口を利用するのが効果的ですが、なかなか手間がかかるのは事実です。
それも面倒くさい場合は、さっさと職場から脱出して転職してしまうという手もあります。
実際、組織の体制がしっかりしていないと、外部に相談しても改善されないことが多いです。
(逆に大企業の場合は、労基や訴訟問題を嫌がるので、改善される傾向があります。)
あまり改善されない場合や、会社に思い入れもなく、面倒くさい場合は転職してしまった方が楽なことも多いものです。
現在では転職する手段も多く、パワハラやモラハラに対する理解もあります。
気軽に転職サイトやエージェントを利用してみるのも良いでしょう。
モラハラ人間の言うことは真に受けない
以上のように、モラハラ上司のパターンや対処法についてまとめてきました。
モラハラをするような人間は、人間性に問題があるので、その上司の言うことをまともに受けてはいけません。
仲間がいるなら仲間を作り、互いに励ましあうのもよいことです。
必要ならば証拠を集め相談し、改善を狙ってみましょう。
面倒くさいならさっさと転職してしまうのも一つの手です。
いずれにせよ、一番大切なことは「自分も悪い」と思わないことです。
モラハラ人間の言っていることが一見正しいように思えても、あなたが傷ついてしまうほど強く言われる必要はありません。
上司の人間性に問題があると考えて、まともにとりあわないようにしましょう。