上司にとって、部下の信頼を失うということは悲しいことであり、できる限り避けたいものです。
信頼関係があるかないかが、チームで成果を出す上で重要な要素であるのは言うまでもありません。
「部下から信頼を得ること」は非常に大切ですが、それと同じくらい、「信頼を失わないこと」も重要です。
よく言われることですが、信頼関係を築くには時間がかかりますが、それを失うのは一瞬のことです。
信頼を失うような行動をとれば簡単に信頼はなくなりますが、どんなときでも信頼を失わないようなリーダーであることは難しいものです。
今回は、部下から信頼を失ってしまう行動や、信用されない上司の特徴についてまとめました。
あなたが普段は信頼を集めるリーダーであっても、この内容を参考にして、どんなときでも信頼を失わずにいることを心がけましょう。
ちなみに、リーダー・上司としてのノウハウが学べる本で、個人的に特に参考になった本をこちらの記事でまとめています。
気になる人は参考まで。
目次
信用できない上司の特徴
まずは、「部下から信用されない上司」にはどのような特徴があるか、というポイントを押さえましょう。
下に挙げる傾向がある上司は、部下から信用されません。このような特徴が自分にないかどうか振り返ってみましょう。
①言行の不一致
これは、「言っていることと、やっていることが違う」ということです。
例えば、「仕事仲間の話はよく聞きなさい」とリーダーが話しても、そのリーダー自身が人の話を聞く姿勢ができてない場合、部下からは信頼されません。
口ではいくら偉そうなことを話していても、行動が伴っていないようであれば、部下からは「この人は信用できない」と思われます。
また、口先だけ大きな目標を掲げたり理想論をアツく語るが、そのための具体的な行動が全く伴なわない・・というケースもこれに当てはまります。
理想を語った瞬間は共感され信頼を得やすいですが、その後行動が伴わないと信頼されなくななります。
②話を聞かない
仕事で上手くいかない、不安なことがある、会社の決定に納得行かないことがある・・など、部下はしばしばネガティブな思いを抱えます。
そういう時に、その思いを吐き出すことで前向きになるものです。
そして、そんな思いを聞いてくれるリーダーのことを信頼し、「この人のために頑張ろう」と思います。
しかし部下の不安や不満を聞こうとしない上司や、いつも上から目線で部下の言葉を否定してばかりいる上司についていこうとは思いません。
③やるべきことをやらない
それぞれの仕事で基本となる仕事(日報を提出する、お客様へのアフターフォロー、義務化している打合)は面倒だったり、地味なので飽きやすいものです。
上司になり、チームの中で一番偉くなると、そういう仕事をサボったとしても、それを注意する人はいません。
そのため「自分は偉いからこんなことはやらなくてもいいか」という考えに支配され、地味で面倒な基本の業務をやらない上司がいます。
このようなリーダーは部下から信用されません。
④過去の栄光を自慢する
「自分が若い頃はこうだった」「今の若いやつは甘えた環境にいる」ということをよく言う上司がいます。
自分を尊敬してもらいたいのか、部下が昔より楽をしていることに嫉妬しているのは分かりませんが、どちらにしてもそういう発言はただの自己満足に取られます。
上司が自分の武勇伝を偉そうに話し、部下が奮起した例はあまり聞きません。
それよりも「また言っているよ・・」とあきれられ信頼されないことの方が多いです。
⑤好き嫌いで部下の評価が変わる
仲がいいから、自分に媚を売ってくれるから、という理由で人事評価を高くする上司は信用されません。
これは、「私は人を見る目がありません」と回りにアピールしているようなものです。
リーダーがこれをしてしまうと、優秀な人が辞めていってしまうという恐ろしい副作用もありますので絶対に避けなければいけません。
以上のような特徴がある上司は、部下から信用されません。
「自分の言動が部下にどのような影響を与えるか」ということを考えない姿勢が、部下から信頼されない原因になります。
部下の信頼を失う行動とは
このような特徴がある上司は部下から信頼されません。
しかし、あなたにこのような傾向が無いからといって安心してはいけません。
普段信頼関係が築けている場合でも、これから紹介する行動を取ってしまった場合、部下からの信頼を失う可能性があります。
リーダーとして、どんなときでも以下に挙げるような行動は取ってはいけません。5つご紹介します。
①指示をコロコロ変える
上司の指示通りに仕事をしたら「これは違う、こんな風にやれとは言ってない」と言われたことはないでしょうか。
上司と部下の間で理解に違いが起きたときに、このようになりがちですが、上司の言っていることがコロコロ変わる場合もこのようなことが起きます。
この事象が起こると、仕事がスムーズに進まず、部下のストレスも溜まり、指示を出してくる上司への信頼も失われます。
②悪口を言う
同じ職場のメンバーや、取引先の悪口をいう人は信頼されません。
部下にとって自分の上司にあたる人が、人の悪口を言っていると、「この人は自分の悪口も他で言ってるんじゃないか」と不安になります。
また、チームの雰囲気に最も影響力を与えるのはリーダーです。
その立場の人が、他の人の悪口を言うような環境では、部下は前向きになれず、上司を信頼することもできません。
③失敗をごまかす
失敗してしまった場合、特に相手に迷惑を掛けてしまった場合に、素直に謝らずにうやむやにしてしまおうとするのは不誠実で、信頼感を損ねます。
また、言い訳・言い逃れをしてしまうことも信頼感を損ないます。
自分にとっては正当だと思われる理由でも、相手にとってはそう感じられない可能性もあります。言い訳をするときは十分注意してください。
そして、失敗の責任を部下に押し付けようとする行為が最も信頼感を損ねます。
過ちに対して責任を取ろうとしない姿勢は、一発で部下の信頼をなくします。
④約束を守らない
「この仕事をしておくよ」「あの人と話をしておくよ」という約束を部下とすることも多いと思います。
しかし、それを実践せずに流してしまうと信頼を失ってしまいます。
とはいえ、実際約束をしたものの、色々な事情によりそれを果たすことが出来ないケースもあるでしょう。
その場合は、こちらから相手に対してその旨を伝え、謝ることができれば信頼を失わずにすみます。
⑤部下を信頼しない
人は、「自分を好きになってくれる人のことを好きになる」という心理学の法則(好意の返報性)があります。
これは信頼関係においても同じです。
自分のことを信じてくれる上司に対しては、自分も信じようという気持ちになりますが、自分が信頼されていないと感じた場合、その相手を信頼しません。
人は、自分が相手にどう思われているかについて敏感です。
あなたとしては表に出していなくても、内心信頼していない場合は、それが相手に伝わってしまうことが多いものです。
自分本位の考えが信頼を損ねる
ここまでご紹介してきた「部下の信頼を失う行動」は、そのどれもが言わば当たり前のことです。
そのため、「言われなくてもわかっている」と感じる人は多いでしょう。
しかし、何かミスをしてしまい、自分の立場が危うく感じることや、上司としてプライドが傷つくことがあるかもしれません。
そういう時についつい自分を守ろうとしてしまい、失敗をごまかしてしまうということがあります。
責められたとき、とっさに口走ってしまう言葉や取ってしまう態度が、部下の信頼を失くしてしまうということがあるのです。
そのため、いけないとわかっていても信頼を失う行動をとってしまうことがありえるのです。
どんなときでも信頼を失わないリーダーであることは、意外に難しいことなのです。
苦しいときにどのように振舞うのかによって、その人の本質が現れます。
こういう時にこそ、信頼を失わないような振る舞いができる人は、部下から信頼されます。
そのため、部下との信頼関係に自信がある人でも、ここでご紹介した内容を覚えておくことが重要でしょう。
そして、自分が追い込まれたときでも、信頼を失くすような振る舞いをしないよう、気を引き締めることが大切ではないでしょうか。
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