「仕事の振り返りは大切だ」とよく言われますが、実際にはどのような効果があるのでしょうか。
また、どのように振り返りをすることが効果的なのでしょうか。
実際に振り返りをしようとすると、このような疑問をもつことがあると思います。
仕事の振り返りは、コツをつかめば読書やセミナーへの参加よりも手軽にでき、そしてその効果は絶大です。
あなた自身の経験をもとにして学ぶことになるので、本やセミナーより生きた発見や気づきをえることができます。
しかし、上手な振り返りは良い学びを生みますが、下手な振り返りは学びを生まず、時間の無駄になってしまいます。
そこで今回は、仕事を振り返る上で重要なことや、上手な振り返りのために必要なことをまとめました。
いかに上手く・多く・深く仕事を振り返るかが、あなたの成長に大きくかかわります。
効果的な振り返りをしたいという人は、これからご紹介する内容を参考にしてください。
目次
振り返りの目的とはなにか
まずは、何のために仕事の振り返りを行なうかを理解しましょう。
振り返りの目的とは「仕事の結果やそのプロセスを整理し、気づきを得て、具体的に行動を変えること」ことです。
・目標に対しての自分の実績がどうだったか
・目標に届かせるために自分が行なったことはなにか
・成功したことや失敗してしまったことはなにか
・他の人から指摘をうけたことはなにか
など、色々な視点で、自分の仕事ぶりを見つめなおし、気づきを得て、行動を改善しましょう。
重要なことは、「行動を改善すること」です。
いくら立派に自分の行動や結果を整理したとしても、結局明日以降の行動が変わらなければ、結果も変わりません。
振り返りと反省の違い
「反省」と「振り返り」は違うとよく言われます。
反省は「何がいけなかったか」「なぜいけなかったか」を考えるまでで終わるのに対し、振り返りは「次上手くいくためにはどうすればよいか」まで突き詰めて考えます。
反省は必要なことですが、反省すること自体が目的になってしまってはいけません。
それよりも同じ問題を起こさないことが重要ですよね。
そのためには、「反省」よりも「振り返り」を重視しましょう。
なお、そういう意味で振り返りは、失敗した場合にすぐに行なうことが効果的です。
失敗をした場合は、振り返りによって、その根本原因を突き止め、再発防止の具体策を見つけることが重要です。
反省して満足するのではなく、振り返りによって、具体的な改善案まで考えましょう。
同じ理由で、大きな成功をしたときもすぐ振り返りをすることが効果的です。
この場合は、「成功した要因はなにか」「その成功を再現するためにはどうすればいいか」という視点で考えましょう。
これによって、一度だけの成功で終わらず、何度も同じ成功を起こすことができるようになります。
仕事の振り返りにはノートを使おう
このような目的を持って、仕事の振り返りを行なうことが重要ですが、このとき大切なのは「書き出すこと」です。
ノートや手帳に書き出せば、記録に残るので、後から見返すことができます。
また、書き出すという行為は、頭の中を整理する効果もあります。
ぼんやりとした頭の中が、書き出すという行為によってクリアになり、そこから気づきを得やすくなります。
このとき書き出す言葉は、短い言葉で構いません。
また、誰に見せるわけではもないので、自分の言葉で書いてしまいましょう。
自分の頭の中を整理するのと、自分が見返すために書き残すので、必要以上にキレイに書き出す必要はありません。
ただし、そこから得た気づきや今後の改善行動については、後から見て目立つようにしておきましょう。
太字にしたり、丸で囲ったり、色をつけたり、強調する方法は色々とあります。
また、そのときに感じた「感情」(失敗して悔しかった、成功して嬉しかった、など)もあわせて書いておくことで、見返した際により思い出しやすくなります。
このような方法で、振り返りをした記録をノートに残しておくことで、あなた自身の仕事の参考書ができます。
日々この参考書を更新し続けることで、あなたの仕事の能力も向上していきます。
振り返りは毎日行なうのが効果的
このように、仕事についての振り返りを行なうことで、今後はどのように動けばよいかということが分かります。
そして、この振り返りは、できる限り短いスパンで、できるならば毎日行うことが理想です。
そんな大掛かりな形で行なう必要はありません。1日15分程度で構いません。
その日に上手くいったことと失敗したことを一つずつ上げ、それぞれの理由を明日以降の行動をどのように変えるか、という視点で考えてみるのです。
これをノートに書き出すことで、頭の中を整理しつつ翌日以降も見れるようにもなります。
このような振り返りを毎日行なうことで、1日1つずつの改善を毎日続け1ヶ月で30近く、1年で300近くの成長ができることになります。
同じように仕事をしていても、成長が早い人とそうでない人に分かれます。
この違いは、日々振り返りをしているので毎日少しずつ成長しているか、何気なく過ごしてあまり成長しないかということだと言えるでしょう。
振り返りに有効なKPTというフレームワーク
仕事の振り返りでは、このような個人レベルでのものが重要ですが、それ以外にチームで振り返るということも重要でしょう。
その際には、優秀な振り返り方の枠組み(フレームワーク)に当てはめて考えるのが効果的です。
まずご紹介したいのが、KPTというフレームワークです。
これは、自分たちの仕事について
Keep(続けるべきこと)
Problem(上手くいかなかったこと、問題となったこと)
Try(今後実施すること)
の三要素に分けるという振り返りを行なう方法です。
これはエンジニアのチーム開発の中で頻繁に使われているフレームワークです。
KPTで考えることで、「この仕事、この取り組みはK、P、Tのどれだろうか」と分類します。
その結果、一つひとつの仕事について、今後も続けていくのか、止めるべきなのか、今後新しく取り組むことは何か、ということが整理され、チーム内で共有できます。
そして、定期的にこのように考えることで、Problem(問題事項)Try(今後の改善案)を常に洗い出すことができ、チーム単位で改善行動を増やすことができます。
詳しくはこちらを参照してください。
【徹底解説】正しい「KPT」が仕事の成果を生み出す!進め方のコツ、現場の事例を紹介
仕事を振り返るのにオススメなフレームワーク
このように、仕事を上手に振り返りのためには、KPTのような、決まった形のフレームワークを活用することが効果的です。
しかし、仕事内容や規模によって、効果的な振り返りの方法はそれぞれ異なります。
そこで、代表的なフレームワークを3つご紹介します。
メリットを確認し、あなたの状況に合わせて適切なフレームワークを採用するとよいでしょう。
①PDCAサイクル
これは、ビジネスでよく使われる非常に有名なフレームワークです。
Plan(行動計画や目標を設定する)
Do(計画に基づいて実行する)
Check(実行したものが計画や目標どおり結果になっているか評価)
Act(評価の結果に基づいて、次の行動を決める)
PDCAサイクルをまわすことで、次への改善行動が明確になるというメリットがあります。
日ごろ仕事をしていると、PlanやDoで終わってしまうことが多々あります。
このサイクルを回すのを習慣化することで、一つひとつ改善行動を生み出すことができます。
②経験学習モデル
これは、過去に起こった事象について注目して振り返りを行い、それを他のケースでも応用できないか考えることに力を入れる方法です。
具体的経験(具体的な経験を挙げる)
省察(その経験について、色々な視点から振り返る)
概念化(他の状況でも応用できるように、ポイントをまとめる)
試行(新しい状況で実際に試してみる)
経験学習モデルでは、自分が予想していなかった極端な結果(悪い結果だけでなく良い結果も)を取り上げることが大切です。
省察では、極端な結果が起きてしまった原因や背景について色々な視点から振り返ってみます。人に聞いてみてもいいでしょう。
概念化では、その原因や背景をもとに、悪い結果が再発しないためのポイントや、良い結果を再び起こすためのポイントをまとめます。
このようなプロセスを踏むことで、「自分が予期しなかった結果から学びを得たい」というときに役立つのが経験学習モデルです。
③YWT
これは、日本で作られたとされるフレームワークで、比較的簡単に考えることができます。
Y:やったこと(行動の内容)
W:わかったこと(行動から得られた結果)
T:次にやること(わかったことを踏まえて次に行なう行動)
各項目は単純なので、振り返りが苦手な人も取り組みやすいかもしれません。
このとき、ただYやWを考えるのではなく、やったことの意図や目的、わかったことが当初の意図や目的に合ったものだったか、そうでない場合はなぜか、という切り口から考えることが大切です。
そして、当然ながら、振り返りは行動を改善するためのものなので、Tについて具体的に考えることも非常に重要です。
仕事の振り返りは、どの観点で行なうかで効果が変わる
以上のように、仕事の振り返りの目的やコツについてご紹介してきました。
仕事の振り返りは、具体的に行動を変えることが目的です。そして、行動が変われば結果も変わり、自分の成長へつながるでしょう。
フレームワークをはじめ、色々な方法をご紹介しましたが、振り返りとは「自分に自分で問いかけをする」ということでもあります。
その問いかけの内容が、今の自分やチームにとって適切であれば、上手い振り返りができる一方、そうでない場合は、せっかくの振り返りも効果が薄いかもしれません。
振り返りに慣れてきたら、どのような観点・どのような問いかけが、今の自分やチームに合うのかということも考えてみましょう。
もし「どうしても振り返りが苦手だ」という人に個人的にオススメなのが「自分は3ヶ月前と比べてどこが成長しただろうか」という問いかけです。
3ヶ月間あれば何かしら人は成長しやすいですが、それが無い場合は、次の3ヶ月間をまた同じように過ごしていいのかと考え直すきっかけになるでしょう。
いずれにせよ、どのような観点で振り返るのかということが自分の成長につながります。
振り返りが苦手という人は、記事の内容を参考にしてみてください。
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