転職をするときには、面接試験が避けて通れません。
「面接のために準備することが大切だ」とよく言われますが、これが結構面倒くさいものです。
「自分は他の会社でも十分評価されるような実績があるだんだから、準備なんていらないでしょ」
「自分のこれまでの経歴を話せばいいだけ。特別準備なんていらないと思う。」
と考える人も多いでしょう。
中途採用は、新卒採用と比べ、面接の印象よりも実績や経歴によって採用が決まりやすいものです。
確かにそう考えると、「転職面接は準備は必要ない」と考えられるかもしれません。
私はこれまで2度転職を行い、また、採用する側としての業務も行ってきました。
その経験から言うと、確かに準備をしなくても内定をもらえることもありますが、必要ないと言い切れるまでではないと考えています。
ということで、今回はこのテーマについて考えてみます。
目次
転職面接の準備をする3つの意味
そもそも転職面接の準備をする意味はあるのでしょうか?
これには大きく分けて3つの意味があると思っています。順番にご紹介します。
①話す内容を整理しておくことで、より明確に伝わる
これまでの実績がどのくらいのレベルかについては、売上の実績は数字で伝えられます。
また、社内での評価はどのような職位(主任や係長など)を得てきたかでわかります。
しかし、応募先企業にアピールするべき情報はそれだけではないはずです。
成果を上げるために意識しているコツや、苦労した経験やそれを克服するために行った工夫などがそれにあたります。
このような内容を面接で話すことになると思いますが、それを事前にまとめておくことで、面接本番で、より明確に伝えることができるようになるでしょう。
もちろん準備をせずに思いつきで話すこともできるかもしれませんが、思い出すために「えー」という声を発したり、前後関係がうまく話せなかったなどで、相手にわかりやすく伝えられない可能性があります。
②ベストな長さでの答えができる
面接の場で質問に対して答える時は、ほどよい長さであるべきです。
アピールすることが豊富だからと言って、1分以上、長々と話してしまうようでは「話が長い人」という悪印象を与えてしまいます。
かといって、「はい」「いいえ」だけで終わるような短い返答でもアピールできません。
アピールもしつつ、長すぎない返答は15秒~20秒くらいでしょう(転職サイトのアドバイスでは、30秒くらいがいいというものもあります)。
そのため、想定される質問の答えを、適切な長さにまとめる準備をしておくことで、本番でほどよい長さで答えられます。
また、いろんな質問に対して20秒くらいでまとめる準備をしておけば、だいたいの感覚がわかります。
そうなると、本番で準備してない質問が来ても、同じような長さで答えられるようになるでしょう。
③企業ごとに準備すべき質問もある
「あなたの経歴を教えてください」や「あなたの強みを教えてください」など、面接で聞かれることの多くは、どの企業にも共通するものです。
しかし、「志望動機」「入社後にやりたいこと」「何か質問はあるか」などといった質問もあり、それは企業ごとに違うのが普通です。
採用する側にとっては、このような質問を通じて、応募者の本気度合いを見抜きます。
(「どの企業に対しても同じ答えをしているな」という応募者には、あまり魅力を感じないものです。)
そのため、どの企業にも共通して答えるような質問の準備をするだけではなく、多少面倒くさがろうとも、その企業独自の志望動機や逆質問を準備しておく意味があります。
企業の採用方針と面接準備の関係
このように、転職の面接においても、事前に準備する意味はありますが、もう少し踏み込んで考えてみます。
私の経験から感じたことですが、求人募集をする企業には、大きく分けて2つのパターンがあります。
それによって、準備が必要か、不要かが変わります。
①基本的に採用する方針の企業
これは、慢性的に人手不足で、募集定員に特に決まりはなく、来れば来るだけ採用したい、というスタンスです。
急成長中の企業でライン要員(営業職や販売員など、直接売上を生む職種)の募集だと当てはまることが多いでしょう。
このような方針の企業であれば、企業側が必要とする経歴などの条件を満たしていれば、基本的に採用されます。
面接の場である程度ハキハキ答えられれば採用されるでしょう。
このタイプの企業の面接では、はっきり言って準備は必要ありません、面接の質問に対しても、その場で思いついたことを話して問題ないと思います。
②応募者を「選ぶ」方針の企業
一方、そこまで人手不足でなく、募集定員も一人や二人、それも採用に焦りがなく、「良い人が来ないと取らない」というスタンスの企業もあります。
人の出入り(入社や退職)が激しくない、ある程度の規模で安定した企業で、スタッフ要員(経理や人事などの、売上を生む職種ではない社員)の募集だと当てはまることが多いです。
このような企業の場合、経歴や条件に加えて、面接での印象も重要な判断材料になります。
また、一つの募集枠に数人の応募が集まった場合、そのなかで最も評価の高い人を採用します。
そのため、「自分の方が、他の応募者よりも御社で活躍できますよ」ということを伝えないければいけません。
このような企業で内定をもらうためには、事前の準備の度合いによって、合否が変わると考えるべきでしょう。
このように、採用に関する企業の方針によって、準備が必要かそうでないかがガラッと変わります。
両者の違いは、「あなたと同じような経歴の応募者が同時に応募してきた場合」の対応の差で考えてみると良いかもしれません。
基本的に採用する方針の会社は、採用条件を満たす同じような経歴の応募者が来たら、両方とも採用します。
しかし、選ぶ方針の企業では、募集人数以上の応募があった場合、その中でより評価の高い応募者を選ぶことになります。
そのため、後者の企業では、あなたが採用条件を満たしていても、落とされる可能性があるのです。
そういう求人に応募する場合は、やはり事前の準備をしておき、少しでも企業からの高い評価を受けられるようにすべきでしょう。
基本的に採用する方針企業の注意点
このように、慢性的な人手不足で、基本的に採用するという方針の企業であれば、準備などをしなくても内定を得ることができるでしょう。
しかし、このような企業の注意点も把握しておく必要があります。
慢性的な人手不足である理由は、
①急成長で規模が拡大している
②離職率が非常に高い
の2点が考えられます。
急成長中で規模が拡大している企業では、社員の増加や規模の拡大のペースの割に、会社の組織体制の整備が追いついていないことが多いものです。
そのため、職場環境があまり良くない可能性があります。
また、離職率が高いならば、必ずそれなりの理由があります。俗にいう「ブラック企業」である可能性もあります。
そのような企業ならば、入社後に苦労してしまう可能性もあります。
一方、応募者を選ぶ余裕のある企業であれば、離職率が低く、業務に余裕もある可能性があると考えられます。
入社できるかどうかが大変かもしれませんが、ブラックな環境ではない可能性が高そうです。
この傾向が当てはまらない企業ももちろんありますが、入社のしやすさと入社後の大変さは反比例することが多いことは知っておくべきでしょう。
入社しやすい会社にはそれ相応のリスクが
このように、「転職面接に準備は必要か」というテーマでまとめてきました。
面接の準備をすることには一定の意味があり、準備をすることが内定をもらう可能性が上がるのは確かだと言えます。
しかし、基本的に採用する方針の企業であれば、特に準備などしなくても採用されることが多いものです。
ただし、慢性的な人手不足の企業にはそれ相応のリスクがあることも知っておきましょう。
一方、あなたが応募する企業が「選ぶ」採用方針である可能性もあるならば、やはり準備をしておいたほうがいいと思います。
また、もしどうしても「準備が面倒くさい」「やりたくない」というのなら、在職中に転職活動をするのがオススメです。
その結果、万が一準備不足によって思うように採用がされないとしても、そのときに落ち着いて準備を始めれば問題ありません。
しかし、仕事を辞めてしまったあとに、思うように転職活動が進まないならば焦ってしまい、変な判断をしてしまう可能性があります。
以上のことを踏まえ、自分は面接の準備をしてみるか、やらずに臨むかということを決めると良いでしょう。