部下から「会社を辞める」と言われた時のショックは、何回経験しても嫌なものです。
部下が辞めることで上司である自分の責任は問われるのか、自分の評価は下がってしまうのか、代わりの人員をどうしようか、残される社員のショックは・・と色々考えてしますよね。
部下の退職というイベントは、慣れないうちはそのショックが大きく上手く振舞えないものです。
しかし、「どう対応すべきか」「どのような点に注意するべきか」ということを押さえ、うまく乗り切ることで、退職によるショックを和らげることができ、上司であるあなたの評価も上がります。
今回は、部下が辞めるときの対処や注意点をまとめました。
部下が退職するとき、自分はどうしていいかわからないという方は参考にしてください。
目次
部下は突然辞めるものではない
部下が辞めるときには、上司からすると突然に申告してくることが多いものです。
ですが、部下としては、突然辞めることを決めたわけではありません。
仕事のなかで納得できない不満が生まれ、それが解決できないまま時間をかけて積み重なり、それが限度まできたら「辞める」と決断するのです。
部下が退職を考える理由には様々なものがあります。この記事にまとめています。
世間で良く言われる「部下の退職理由」の解説とその予防法を考えてみる
このような要因に当てはまる危険はないか、という点で部下を気にかけ、不満や不安が積み重ならないうちにフォローすることが重要です。
なお、だいたいの場合、部下から「辞めたい」と言われるときは、もう意思が固まっていることが多いものです。
そんななかでも、上司として取れる対応はこちらにまとめました。
退職を考える部下を説得したいときは、逆に説得してはいけない。
このような方法で対応すれば、止まる可能性も若干あります。
しかし、まずなにより「辞めたい」という気持ちを固めさせないことが重要です。
部下が辞めるショックを和らげるには
上司にとって、部下が辞めるということはショックが大きいものです。
あなたがこれまで深く関わってきた部下であればあるほど、あなた自身が否定されてしまうような気持ちになってしまうものです。
しかし、いくら手をかけ育てたとしても、それは仕事上での付き合いであり、家族というわけではありません。
「この人との縁はここまでだったのか」と割り切ることが大切です。
やはりあなたが一番気にかけるべきなのは、残される社員です。
退職理由が、寿退社や出産などのようなおめでたい話であれば、部下の退職によるショックはさほど大きくありません。
しかし、「他の会社のほうが待遇がいいから」、「会社に不満がある」というような理由の退職だと、少なからず残る社員に悪影響を与えます。
そのフォローをするためには、退職する社員と「残る社員へに悪影響がでないようにしたい」ということを共有する必要があります。
これにはまず、上司個人と退職者に信頼関係が必要です。
辞める社員が「会社や上司に復讐してやりたい」という状態になっていては、残る社員への悪影響は必ず起こるでしょう。そういう状態はできる限り避けたいものです。
そうでなく、ある程度の信頼関係がある場合は、その部下に、他の社員やあなたに対して罪悪感を感じているはずです。
また、辞める部下自身も穏便に辞めたいと願うことは多いはずです。
会社と揉めてしまうと、退職に必要な書類を発行してくれないだとか、面倒くさいことになるのを恐れることが多いです。
以上の理由から、上司から「極力悪影響を与えないように協力してほしい」ということに協力的になってくれやすいはずです。
そのため、辞める部下と「残る社員へのショックを極力減らす」ということを共有しましょう。
部下の退職を社員にいつ告知するか

部下が辞めることでの悪影響を防ぐためには、まず残る社員への告知のタイミングを考えなければいけません。
これは、辞めてしまう当日・前日に話してしまうパターンと、ある程度(2週間や1ヶ月)前に告知しておくパターンがあります。
メンバー間で信頼関係や仲間意識が無い場合は、前日や当日に告知することで「自分も辞める」という後追い退職が防ぎやすい傾向があります。
しかし、プライベートでも仲がいいような関係の場合は、ある程度前に告知をしておかないと、直前まで黙っている会社に対して不信感を抱くことが多いです。
そのため、適切な理由である程度前に告知をし、そのショックを和らげるような声をかけることが必要でしょう。
このとき、辞める本人からも周りの社員に対して詳しく理由を伝えたり、前向きな言葉をかけてもらうことが大切です。
残る社員に退職理由をどう話すか
タイミングのほかに、「辞める理由をどう伝えるか」という点も考える必要があります。このとき、場合によっては方便を使うという方法があります。
例えば、「もっと給料のよい他社に引き抜かれた」という理由よりも、「家族の介護でフルタイムで勤務することができなくなった」、としたほうがい悪影響は少ないものです。
職場へのリアルな不満よりも、家庭の事情を退職理由にしたほうが、残される社員のモチベーションは下がりにくいでしょう。
一般的には嘘は良くないものですが、辞める部下本人の同意が取り付けられるのならば、辞める理由に方便を使うのは悪くない方法です。
このとき、「残る社員へのショックを和らげたい」ということに共感してくれている場合は、協力してくれやすいものです。
このとき大切なのは同意を得ることです。
強制的に方便を使わせたり勝手に理由を変えてしまうと、それが残る部下にバレたときに一気に不信感が広がります。
これならまだ正直な理由を伝えたほうがマシです。本人の同意の無い方便は、必ず誰かに漏れます。
部下が辞めるときの対応の注意点
このように、部下が辞めることでの悪影響を防ぐことが重要ですが、その際には、部下本人と退職の交渉をスムーズに進める必要があります。
どのような手続きが必要かについてはこちらが参考になります。
部下の退職手続きについてまとめ【退職日交渉・有給消化・必要書類】
事務的な処理としては上の記事の内容を参考になりますが、このとき気をつけることが2点あります。
①ケチケチしていたら敵をつくってしまう
「部下が有給消化を希望したらあれこれ理由をつけて渋ろうとする」
であるとか
「社会保険料を節約しようとして在籍を短くしようとする」
というような会社として「ケチ」な姿勢が見えてしまうと、周りの社員に散々愚痴や文句を言ったり、辞めたあとも恨まれたり・・と長期的に見て良いことはありません。
もちろん会社としてはコストを抑えたいところですし、もう会社から離れるという人間に便宜を図るのを好まないことも多いでしょう。
しかし、あまりにケチな対応をとった場合には、長期的に見て不利になることもあります。
そこも踏まえてある程度寛大に対応することも重要です。辞める人間から会社の愚痴を言われてしまうと、後追い退職のリスクが高まります。
②自己中心的な要求は突っぱねるべき
まれに「明日で辞めます、有給買取お願いします」というような、自己中心的な要求もあります。
退職する部下に対してはケチケチしてはいけないですが、このような要求に対して甘く対応をする必要はありません。
法律や就業規則に照らし合わせ、こちらに非が無い場合や、対応する義務のない場合は相手の要求を拒否すべきでもあります。
拒否することで、その社員が周りの社員へ文句を言うなど悪影響が心配になるかもしれません。
しかし、このような無茶苦茶な要求をしてくる人間は、社内でも評判が悪いのではないでしょうか。
その場合は、その要求を突っぱねた結果、相手が周りに文句を言ったとしても、残される社員にさほど悪影響は無いはずです。
むしろその要求を呑んでしまった場合、周りからは「あんな人のむちゃくちゃな要求が通るなんてずるい」と思われてしまいます。
そのため、相手の要求が自己中心的かそうでないかを冷静に判断し、受け入れるか・拒否するかを考えることが重要です。
「部下が辞めると困る」と悩むより被害を抑える動きを
このように、部下が辞めるときに注意すべき点をまとめました。
部下が退職してしまうのは上司にとって避けるべきことであり、ショックも受けてしまうでしょう。
しかし、ショックを受けている場合ではありません。そのときに上司のあなたが考えるべきことは、
・止められないかどうか動いてみる
・止められないならば、残る社員への悪影響が無いようにフォローする
という2点です。そのために出来ることはたくさんあります。
部下が辞めることにショックを受けている場合ではありません。上司として、やるべきことをやり、少しでも被害を少なくしましょう。
こちらも参考になります。
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