男性上司にとって頭を悩ませがちなのは、女性部下への接し方です。
比較的単純という傾向のある男性部下に対して、女性部下はそうではなく、男性部下と同じようなノリで接して失敗するという話はよく聞きます。
実際私自身も色々な部下と接していると、男性と女性の部下で、その特徴やよい関係を築くためのポイントが違うなぁと感じることがあります。
そのような男女の違いについて理解し、それにあわせたコミュニケーションをとることが職場を上手くマネジメントするコツと言えるでしょう。
そこで今回は、女性部下と上手く接するためのポイントをまとめました。女性部下との関係が上手くいっていない場合は参考にしてみてください。
目次
男性部下は権限で動かすことができる
まずは、女性部下と男性部下の大きな違いについて把握することが重要です。
男性上司にとって、男性の部下は自分に近い価値観を持っていることが多いので、どのように接するのが効果的かイメージが湧きやすいものです。
しかし女性部下の価値観は分からないことが多いでしょう。その男女の違いを知識として知っておかなければ、男性部下が女性部下からの信頼を得ることは難しいでしょう。
それでは、女性部下と男性部下の違いとはなんなのでしょうか。
細かい違いは色々とありますが、一番の違いは「何をもとに動くか」ということです。
男性部下は、「組織の論理」で動くことができる傾向にあります。つまり上司であるという権限でもって指示を出し動かせることができます。
たとえそれが理不尽な指示であっても「上司の言うことだから」と聞き入れ動くことができることが多いです。
そのため、上司としては指示を出す際に苦労することは少ないでしょう。そういう意味では男性部下は楽だと言えます。
女性部下は納得感が重要
対して女性部下は、権限ではなく「納得感」で動くことが多いものです。
上司の言っていることだからということでなんでも指示に従うわけではありません。自分で納得できない場合は上司に食ってかかるなんてこともあります。
そのため「上司である」という権限で従わせるのではなく、言っていることの正しさや信頼関係でもって言うことを聞かせるのが求められます。
女性部下にとって最も大切なことは「納得感」だと考えたほうがいいでしょう。
そのため、女性部下には言葉を尽くし、納得感を高めるためにアプローチすることが重要です。
このように考えると、女性部下のほうが、上司の説明やコミュニケーションによって仕事の成果が変わる傾向にあります。
実際、女性部下は仕事に全人格を重ねる傾向があります。
つまり納得することで仕事への責任感や力の入れようが男性部下よりも大きくなり、結果男性部下よりも成果を上げる傾向があるのです。
そのため、女性部下との効果的な接し方を把握し、うまくマネジメントすることができれば大きな成果を上げることができます。
したがって上司にとっては、男性よりも女性部下との適切な接し方を学ぶことが重要だと言えるでしょう。
女性部下を「扱いにくい」と感じる原因と対応法
以上のように、上司としては女性部下への接し方を学ぶことが重要ですが、女性部下は男性の部下に比べて「扱いにくい」と感じることが多いでしょう。
まずは扱いにくいと感じる点と、その対応方法について知っておきましょう。
①思い込みが激しく、「そんなことできない」と言うことが多い
新しい仕事や立場に対して、女性部下は「自分にはそんなことできない」と悲観的に考える傾向があります。
真面目さが先行して失敗を恐れる傾向が強いため、このような思い込みをしてしまうことが多のです。
こちらとしては、本人の頑張りを認めて新しい仕事や立場を任せたいのに、こんな風に言われては上司側のテンションも下がってしまいます。
こういうときは本人の意見(なぜ無理だと思うか)をじっくり聞いてやることが重要です。その上で一つひとつその不安要素を解消するよう話します。
なぜその仕事が必要か、またなぜ相手にその仕事を任せたいのかという期待も話してやり、背中を押してやりましょう。
男性部下の場合はそうしたアプローチが無く、一言で済むことも多いですが、女性部下の場合はこのように仕事を任せる必要があります。
②仕事の場で涙を流してしまう
女性は男性に比べ感情のコントロールが苦手な傾向にあるため、叱られたときなどに泣いてしまうことが多くあります。
ただし、その女性部下自身も仕事で涙を流すことはいけないという認識もあるのですが、感情のコントロールができずに泣いてしまうことが多いようです。
このとき、男性上司としてはうろたえたり急に優しくする必要はありません。
基本的には涙が収まるまで待ち、その上で引き続き会話を続けましょう。泣いてしまったからといって話を切り上げて終える必要はありません。
泣いている女性自身も頭は冷静であることが多いので、そのまま話をしても差し支えないことが多いものです。
そして、泣いたからと言って態度を変えられることを女性部下自身が嫌がります。
涙を流したからといってこちらが過剰に反応する必要はありません。汗やくしゃみの類だと思っても問題ないぐらいです。
③叱るときには人格を否定されると思いがち
叱るときはその人の人格ではなく、起きてしまった状況や事実について叱るべきであるというのはよく言われますが、女性部下を叱るときには、とくにこの点に気をつけなければいけません。
女性は自分の仕事に自分の人格を重ねることがあります。自分の仕事の出来が自分のすべてだと思っている場合、その仕事を否定されたら自分自身を否定されたと思う可能性があります。
こういう場合、男性を叱るとき以上に「人格ではなく、事実について指摘する」という原則を意識なければいけません。
ここを混同してしまうとモチベーションが大きく下がってしまいます。
女性部下を怒らせてしまうポイント
このように、女性部下と接するときに男性上司が扱いにくいと感じるポイントと対応方法をご紹介しました。
女性部下と接するうえでは、もう一種類気をつけなければいけないポイントがあります。
それは女性部下が怒りやすいポイントです。
先ほどの例は、その条件に当てはまらない限りは気にする必要はありませんが、これから挙げる3点は、常日ごろから男性上司が気にしていないと、いつの間にか地雷を踏んでしまうことがあります。
①平等に接しない
女性は男性以上に特別扱いやえこひいきに敏感です。声をかける頻度やその内容から「あの人だけ特別扱いされている」と感じ、不平不満の種となります。
叱るときや褒めるときは個別で話すことが多いと思いますが、そのときでも上司のあなたが話した言葉は他の女性部下にも漏れると考えておいたほうがいいでしょう。
周りに他の人がいないからと言って、特別扱いをしないほうが無難です。
②部下の話を聞かない
女性にとって会話によるコミュニケーションは、ストレスの発散やモチベーションの向上に大きな役割を果たします。
男性部下のように黙ってもくもくと仕事をし、高い成果をあげるタイプは少ないです。
そのため、上司から指示をする際、何かと不安を訴えるかもしれません。
それに対して「いいから黙ってやれ」と言い放ってしまうと一気に信頼を失います。
根気よく一つひとつの不安に対して応えてあげ、その不安を取り除くことが重要です。
逆にそれができ、迷いなく仕事に取り組んだときのエネルギーは男性以上のものがあります。
③年齢や容姿のことをイジる
男性上司と部下の間で年齢や容姿のことをイジるコミュニケーションはよくあります。特に部下が自分を自虐的に話し上司に気に入られるなんてパターンもあるでしょう。
しかし女性の場合はそうした会話は厳禁です。
女性が自分のことを自虐的に言ってくることがあったとしても、それにノってはいけません。また上司から女性部下に対して「最近太った?」や「もうアラフォーなんだね」というようなイジりは止めたほうがいいでしょう。
関係が一気に悪化し、ひどい場合は口をきかなくなるなど、思いっきり仕事に支障がでる場合もあります。
女性部下に好かれるための方法
このように、男性上司にとっては気をつけるべきことが多い女性部下ですが、接し方を工夫することで好かれることもできます。
これから紹介する点を意識して接することで女性部下から信頼されます。
女性は直属の上司に対する信頼感が高まると、それがそのまま仕事へのモチベーションに直結します。男性上司はぜひ押さえておきましょう。
①褒めるときはプロセスも
男性は出した結果に対しての賞賛を褒めることが多いものですが、女性の場合は結果はさることながらそれ以上にプロセスについて褒めることが有効です。
「どれだけ努力していたか」「仕事の進め方で工夫していたことがあったか」という観点で女性部下の仕事ぶりを評価し褒めてやることが大切です。
②仕事を通じて成長させる
仕事に人格を重ねるタイプの女性部下は、男性部下よりも成長意欲が旺盛です。
褒めて励ましてくれる上司や、自分を伸ばしてくれる上司のことを尊敬し信頼する傾向があります。
女性部下の仕事ぶりやその成果をよく見てやり、適切なタイミングでその頑張りを認めてやりましょう。
そして適切にフォローしながら新しい仕事を任せ、本人のスキルを伸ばすことが上手くできれば信頼してくれます。
③いざというときに守ってやる
仕事で失敗をしてしまい責任を問われるときに、上司が部下をかばったり、責任を負うという姿勢が重要です。
こうしてくれることで部下としては安心し、「この上司についていこう」という心持ちになります。
これとは逆に、問題が起きてしまったときに上司が責任逃れをしたり、部下に押し付けてしまうようであれば一気に信頼は失われます。
また、女性部下に対して背中を押すときも「何かあったら俺が責任とるから大丈夫だ、思い切ってやりなさい!」と励ますことも非常に有効です。
日ごろから責任は自分がとるという姿勢を部下に見せ、実際にそうなったときに上司が盾となって部下を守ることができる上司は非常に信頼されます。
責任を取り、守ってやるという姿勢は男性部下に対しても有効ですが、特に女性部下は、責任を取る上司に対して「この人は自分を守ってくれる」と安心してくれます。
このような気持ちになると、女性部下は成果を出すために全力を尽くすことができます。
最近は男性部下でも女性部下のような価値観が多い
以上のように、女性部下との接し方について色々とご紹介してきました。
男性部下との違いを意識して、女性部下に合わせた対応をとることで、女性部下との関係を良好にし、彼女達の力を最大限引き出すことができるようになります。
また、近年は「男性の女性化」がよく取り上げられています。メイクをして美容にこだわっている男性も増えていますよね。
これと同様に、仕事においても自分の納得感を重視したり、思い込みが激しい場合があります。そのような男性には、ここまでご紹介した女性部下のような接し方を意識することが必要でしょう。
逆に男性のような価値観の女性部下もいると思います。そのときには男性部下と同じように接することが有効だといえます。
ここまでの内容を参考にしていただきつつ、実際にはその部下一人ひとりの特徴をよく見て、それぞれにあわせた接し方をすることがよいマネジメントができるでしょう。
女性部下との付き合い方ではこちらも参考になります